みなさんこんにちは。
ピースボートインターンの鈴木慧南です。
今回は船内で特に力を入れている「ピースガイド」についてご紹介します。
ピースガイドとは、広島の伝承者制度に習って、おりづるプロジェクトが独自に行っている企画です。
広島の伝承者制度とは、3年間の時間をかけて1人の被爆者の方に何人か専属で付き、その方の被爆証言をじっくり聞いて自分のことのように感情をこめて話す訓練をします。
ただ被爆者の方の話を聞くだけではなく、原爆とは、核兵器とはどういうものなのか、なぜ広島に原爆が投下されたのかなど、知識面でもさまざまなことを学んでいきます。
そうして3年後に伝承者の認定を受け、資料館や学校などで被爆証言をしていきます。
この伝承者制度は熱意さえあれば、出身地などに関わらず誰でも応募できるもので、誰でも伝承者になることができます。
そういった制度を参考にしながら、今回の第10回おりづるプロジェクトから、一般の乗船者の方々にピースガイドになっていただくべくいろいろな講習を準備しています。
おりづるプロジェクトとして今回の企画を行った背景には今後の継承への大きな課題があるからです。
今年で原爆投下から72年目の夏を迎えます。
被爆者の方々の平均年齢は82歳を超え、きちんと記憶を持った人が証言をすることがどんどん難しくなってきています。
そういった中で、被爆体験をしていないわたしたちがその声を繋いでいく責任があります。
だからこそ、今回のようなピースガイドの企画をつくりました。
ピースガイドは自身で受講したいと言ってくださった方を対象に、現在は14名の人々が懸命に勉強をしています。
全10回の講座から成り立っており、原爆の基本的な知識、おりづるプロジェクトの被爆者メンバーからの聞き取り、話し方講座、広島・長崎という土地についてなどじっくりしっかり学んでいく予定でして、7月4日現在までに第2回目の講座まで終了しています。
また、きちんと聞き取りや知識を自分の中に落とし込めているかを確認するために4つの課題があります。
被爆者の被爆体験の中で「自分には予想できなかったこと」を10分間話す。
核兵器をなくすために「今すべきこと、できること」を3分間話す。
福島の事故から学ぶべき教訓について3分話す。
船内にいる自分とは違った国籍の人と「広島・長崎のことを伝えることの意味」について話し合い、自分とは異なるバックグラウンドを持った人へ話すときに気を付けるべきことを3分話す。
という4つの課題を設けています。
「話す」課題にしたのは、船を降りてから自分の言葉を使って被爆者の方の想いを繋いでいってほしいという思いからです。
7月19日には船内で発表会も予定しており、正式にピースガイドと認定されるとオリジナルのピンバッジが送られます。
今回は14名の方が立候補してくださいましたが、約半数は若者と呼ばれる世代の人々でした。
これからの社会を担っていくであろう人たちが手を挙げてくれたことに被爆者のみなさんも喜んでいます。
講義を行っている様子
さっそく、第2回目の講習である長崎で被爆された三瀬清一郎さんの被爆証言の聞き取りをしているところにお邪魔したのですが、実に細かい質問がいくつも飛び交い、参加者の熱意が伝わってきました。
残り短い期間にはなりますが、発表会での成果発表を楽しみにしています。
ピースボートインターン 鈴木慧南
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