核兵器のもたらした悲惨な歴史の証人として、5月のニューヨークには多くのヒバクシャが集いました。第3回ヒバクシャ証言の航海・ニューヨーク代表団からのお二人と合わせて、ヒバクシャ・ストーリーズに参加されている被爆者の方との写真です。
左から塚本美知子さん、盆子原国彦さん、サーロー節子さん、笹森恵子さん、村上啓子さん
5月21日には、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の主催する、国連でのNGO分科会に全員が参加しました。「軍縮活動とヒバクシャ」というタイトルで、各国の平和活動NGOや教育者が、これからの核軍縮に向けた教育のあり方と、被爆証言の位置づけについて話し合いました。
ここでのキーワードは「軍縮についての教育」と「軍縮に向けた教育」の違いでした。前者は「軍縮ってなあに?」という疑問に答える教育ですが、現在は後者の意味する、核のない世界の実現に向け、活動を起こしてゆく資質を持った子どもたちを育成する教育が注目されています。
ICANのキャンペーンコーディネーターをつとめるティム・ライトさんはまだ若い男性でしたが、子どもの頃に佐々木禎子さんの話を聞いてから、このような平和活動に目覚めたとのことでした。彼が製作し、現在英語で出版されている「核軍縮のための教育」の教科書には、おりづるの折り方などの情報だけでなく、世論調査と結果公表の行い方や、どのように地域の政治家に核廃絶を訴えるかといった、ロビー活動についての指南も含まれており、より実践的な平和活動に子どもたち(幼稚園から高校生まで)を準備する内容が山盛りでした。
ヒバクシャ7人には、これまでの活動体験などを振り返り、これからの証言や平和教育についての意見や提案が求められました。塚本さんは、先日の高校訪問の経験から、少人数グループでの証言会で揚げられる質問の多様さに触れ、より緊密な関係の中での被爆体験の継承を提案しました。
貴重な被爆証言を「平和のための教育」の中でどのように位置づけるか?
(小松真理子)
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