1.ヒバクシャ証言の航海

エンセナーダ:最終寄港地でおもったこと

第69回ピースボート地球一周の船旅の最終寄港地は、メキシコの美港、エンセナーダです。7月12日(月)の天気は快晴!青い空と青い海に、ピースボートの白い船体が輝くように映えて、これまでの寄港地の思い出とともに思わず目を細めてしまいます。ピースボートが着岸した港の岸壁では、地元の公立中・高等学校のオーケストラ・クラブ20名ほどが、心のこもった演奏で迎えてくれました。
ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
『私たちの港を訪れる船が、いつも平和を運ぶ船であるように』と

第3回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」最後の証言会場は、港の近くの美しい州立美術館ホール。エンセナーダ市観光局が新聞をはじめとする各所で、ピースボートの寄港と証言会について広報をしてくださったおかげで、平日午前中の会にもかかわらず、200人以上の市民が入場の列に並ぶ盛況ぶりでした。ここエンセナーダでも、在住の日系メキシコ人のみなさんが、はっぴや浴衣を着てヒバクシャを満面の笑みで出迎えてくださいました。

午前10時半から始まった会では、まず映画「フラッシュ・オブ・ホープ」の前半、原爆について説明している部分を上映した後、兒玉光雄さんが満員の会場に渾身の証言を伝えました。兒玉さんが熱く語る姿と、大型スクリーンに映し出される映像、そしてスペイン語の通訳を介した証言に、会場が真剣に向き合っている空気が満ちていました。45分間後、質疑応答セッションでは、エンセナーダ市民から様々な質問があげられ、ヒバクシャ一行で次々と回答をしました。なかには、核兵器と原子力発電の環境に対する影響を指摘する質問もあり、社会の様々な角度から核の問題を考える市民の関心の高さと幅広さを感じさせられました。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
核戦争の脅威には、地球という惑星規模で立ち向かう必要があると再確認

午後には、エンセナーダ市長との会見に臨み、20世紀初頭に建てられたという白亜の文化施設を訪れました。その昔、アル・カポネやマリリン・モンローら著名人も泊まったカジノだったというこの場所は、メキシコの旗が翻る美しい庭園が印象的でした。パブロ・アレホ・ロペス市長は、会合の初めに平和市長会議への加盟を宣言して、「平和の使者の皆さんが、このエンセナーダの港をより世界とつなげてくださった。核の問題に対してメキシコは常に革新的な姿勢で向かってきたが、ここでさらに広い世界と手をつないで、核廃絶への道の歩みを急ぎたい」と述べられました。ヒバクシャ一行を代表して、盆子原國彦さんは、「最後の寄港地で、このような成果をあげることができ、また「平和の使者」として活動を評価していただいたこと非常にうれしく思いました。メキシコの非核地帯宣言に習い、日本も、そして世界が、それぞれの場所で最大限の力を発揮して手をつなぐことで一日も早い平和で核のない世界の実現を可能にしたいと思います」と返答しました。
ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
最後の寄港地でも、平和市長会議への署名をいただきました

最後になんと、エンセナーダ市訪問の記念として、ヒバクシャ一行にエンセナーダ市から市内観光のプレゼントをいただきました。準備してくださっていた赤い2階建てバスで、いざ晴天のエンセナーダの街へ!この3ヶ月間、いっしょに地球一周をしたおりづるプロジェクトのバナーと共に、美しい港町を巡りました。行き交う人々がおりづるバナーに目を留めては、歩道から車内から手を振ってくれます。あのひとりひとりの顔がどれひとつとして核の悲劇にゆがむことのないように、これからもおりづるプロジェクトとして、そして個人として、核のない世界の実現までを歩み続けたいと、心に強く誓いました。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
ロペス市長・第69回クルーズディレクターの平山雄貴といっしょに

(小松真理子)

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