3.核廃絶へのいろいろな動き

国連や国際NGOの専門家らによる、核軍縮メディア・ブリーフィングが行われました。

7月30日(金)、横浜に停泊中だったオセアニック号船上で開かれたプレスブリーフィングには、国連軍縮部のランディ・ライデル氏や核兵器廃絶国際キャンペーンのティム・ライト氏など約20名が参加しました。

ピースボート共同代表の川崎がピースボートのおりづるプロジェクトの船内や寄港地での取り組みを紹介した後、海外からのゲストスピーカー3名がそれぞれの立場から核廃絶について話しました。

国連軍縮部のランディ・ライデルさんによると、過去60年間、遅々として進んでいなかった核軍縮が、今年5月のNPT再検討会議では多くの進歩が見られたといいます。具体的な軍縮の期限が設定されるまでには至らなかったものの、中東非核地帯化への取り組みが最終報告書に明記されたり、核問題が政治問題としてだけでなく、国際人権法の観点からも話し合われるなど大きな成果があったとしています。

核廃絶を成し遂げるためには、核保有国と市民社会の協力が不可欠であろうというのがライデルさんの結論です。

婦人国際平和自由連盟(WILPF)の核廃絶プロジェクト、リーチング・クリティカル・ウィルのレイ・アチソンさんは核廃絶に向けた国際的機運が高まっている今も、情勢の楽観視はできないとの警告を発しました。

ジュネーブ軍縮会議を助けるためのハイレベル会合が今年9月にニューヨークで行われる予定ですが、米国のオバマ大統領は自身の言葉とは裏腹に核予算を増やし、核の近代化を進める政策をとっていることを、指摘しました。

9月の会議が終わってもあまり大きな進歩は望めないだろうと予測する一方、NGOは今後も引き続き各国政府に対しプレッシャーをかけていく必要があるとも強調しました。

核兵器禁止国際キャンペーン(ICAN)のティム・ライトさんは、前の週に広島でテレビコマーシャル兼核廃絶キャンペーンビデオつくり、各国政府が核廃絶に向けてより大きな役割を担うべきだというメッセージを訴えたことを報告しました。(http://www.millionpleas.com/)また、日豪両政府はどちらも米国の核の傘の下にあり、NWCにあまり積極的でないので、両国ともまず米国の核の傘を拒絶することが必要だと述べました。

その一方で、世界の大多数は核廃絶をもっと前向きに検討しているそうです。5月のNPT再検討会議においては130の政府が核兵器禁止条約について肯定的姿勢をみせました。残念ながら日本政府はNWC締結の足を引っ張る姿勢であリ、このような政府の姿勢が多くの日本国民の願いと相反するものであることは、ライトさんの目にも明らかだと語りました。

後半の討論/質疑応答の時間には参加者から活発に質問が出され、日本政府の核廃絶への取り組み方や、NWC実現のために何をすべきか、などについて意見交換が行われました。

昨年の政権交代で日本の核政策に新たな道筋が開けるとの期待が生まれたが、今年5月のNPT再検討会議には首相も外相も参加しておらず、日本政府は今も核廃絶の足を引っ張っているようだが、、、という意見がでました。それに対して、ライデルさんは国連総会においては日本の外交官たちは常に核軍縮に関して前向きであったが、核廃絶に関しては加盟国同士で意見がまとまらず、日本はゆっくり着実な現実路線を取っている、と説明。しかし、効果の有効性がNGOを中心に懸念されています。

また、ノルウェーからアイルランドまでのピースボートの船上で行われた核兵器禁止条約(NWC)に向けた洋上会議でヒバクシャの話を直接聞いたそうだが、これを自分の活動にどう活かしていきたいか、との質問に対してライトさんは自身が8歳の時、学校でヒバクシャについての映画を見て感動し、友人と千羽鶴を折って広島に送った話を披露し、ヒバクシャ以上に核兵器の非人間性を伝えられる人たちはほかにおらず、2度と核兵器は使わせないという彼らの想いは切実で、この緊急性なくして核廃絶は実現できないと強調しました。

NWC実現のためNGOがプレッシャーをかけるというが、クラスター爆弾禁止条約のオスロプロセスをモデルにする意味はあると思うか、という質問に対してライトさんは、オタワやオスロプロセスを手本にして似たような考えの国々を巻き込み、NWC成立のための運動を進めていきたいと述べました。

また日本がインド原子力協定を結ぼうとしたり、非核三原則の改定を試みていることについてどう思うかという質問に対しては、米国とインドの原子力協定が結ばれ核拡散につながったことは、多くのNGOにNPT違反と見られているし、非核三原則の「持ちこませず」を変えるということはNWCへ向けた動きの大きな後退となり、NPTにも違反であると説明しました。

ライデルさんもライトさんも、核兵器の恐ろしさを知る日本こそが、核廃絶へ向けた動きの先頭に立ち、リーダーシップを発揮してもらいたいものだと述べました。

(シュミット・ひろこ、渡辺里香)

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