1.ヒバクシャ証言の航海

ダカール活動報告

3月12日、本船は中南米から大西洋を渡りアフリカの西部に位置するセネガルのダカールに寄港しました。15世紀から約300年以上にわたり、ここダカールにあるゴレ島から多くのアフリカの人々が奴隷としてヨーロッパをはじめ各地へと連れて行かれました。今回は、そんな奴隷貿易が行われた現場を訪れ、現地の人々とともにお互いの歴史について学ぶツアーとなりました。

午前にはダカールの町並みを見学し、セネガル各地の砂を使った砂絵づくりを見ながら文化を学んだ後、午後の証言会へと向かいました。奴隷貿易の拠点となったゴレ島は、現在負の世界遺産として知られています。ダカール港から出発するフェリーに乗り込みゴレ島へとむかいます。20分ほどしてゴレ島に到着すると、そこにはダカールとはまた違う、のんびりとした空気が流れていました。
    ピースボートのおりづるプロジェクト
フェリーから見えるゴレ島

ゴレ島にある「奴隷の家」は、大きくはありませんが二階建てになっており、いくつかの小さな部屋があります。一階の中央からは海へ通じる通路があり、そこを通る人は帰らぬ人と言われ各地へ奴隷として送られました。また一階中央は中庭のようになっていて、そこでは奴隷を買い付けに来た人々により競りが行われたと言います。奴隷としてこの場所に収容された人々は性別や年齢で分けられ、狭い部屋に押し詰めにされていました。なかには、若い女性用の部屋もあり、彼女たちは監視人たちによって性的暴行を受けたといいます。
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「帰らずの扉」 ここを通ったら二度と郷里には戻れない

今回、この「奴隷の家」を訪問したことにより、おりづるプロジェクトの参加被爆者らも「奴隷貿易について知識がなかった」「奴隷貿易について初めて理解できた」との声が上がりました。

証言会では、ゴレ島の市長を始め一般市民や学生ら約40名が参加をしてくれました。今回は松長静子さんが証言をしてくださいました。市長からはこういった証言交流ができたことの記念として、被爆者のみなさん一人一人に巡礼証書が手渡されました。
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証言をするおりづる参加被爆者の松長静子さん

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生徒たちは松長さんの体験を描いた絵を見ながら、熱心に証言に耳を傾けた

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巡礼証書をゴレ島市長から受け取るおりづる参加被爆者の石川律子さん

証言が終わったあと、学生らとの質疑応答の時間が設けられました。学生たちから出された質問のなかで特に印象に残ったのは、「アメリカ人に対してどう思うのか」というもの。この質問は海外での証言会ではよく受ける質問ではあるのですが、これに対しおりづるのメンバーが「憎んでいない」との返事をしたのに加え、メンバーの一人である小川忠義さんが「あなたたちはアメリカ人をどのように思いますか」と質問を投げ返したのです。この問いに一瞬は学生たちも考えたようでしたが、そのなかで一人の生徒が手をあげました。彼女は「アメリカは自由であるところは非常に良いと思う。しかし、一方で自分たちの利益や目的のためなら手段を選ばないというやり方は好きではない」と答えました。高校生とは思えない、的確な返答に私たちは一同関心しました。
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証言会後の質疑応答にて

後日おりづる参加被爆者の間で行われたフィードバックセッションでは、「奴隷貿易についてはもっと多くの人が学ぶべきであり、ピースボートでの寄港を今後も続けてほしい」といった意見や「教育水準の高さを感じた。教育内容を知りたかった」などの意見が出ました。奴隷貿易自体は過去の事として捉えられることがほとんどですが、その背景には人による差別意識があります。これは現代にも通じるもので、未だに続く大きな問題の一つです。今後も多くを学び、平和構築についてより一層学びを深めていきたいと思います。
    ピースボートのおりづるプロジェクト

(上 泰歩)

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