8月15日、日本で終戦記念日を迎えるこの日は、地中海に浮かぶ島・キプロスにて証言会を行ないました。
この日の証言会の会場はリマソール市庁舎。通常であれば、8月15日はギリシャ正教の大切な祝日で市庁舎をはじめ街全体が休みのところ、広島・長崎から被爆者が来ているとのことでリマソール市長自ら証言会をコーディネートするほど歓迎してくれました!
さらに、リマソール市の近くのカト・ポロメディア市長が「証言会にいけないから」とわざわざ岸壁まで歓迎の挨拶を伝えに来てくださいました!
素敵な歓迎を受け、岸壁から車で10分ほどのリマソール市庁舎へ。
証言者は、17歳のときに長崎で入市被爆をした大村和子さん。今年86歳になる大村さんは、これまで自身の原爆経験について話したことは一度もありません。今回が生まれて初めての証言会ということで、前日に船内で「おりづるパートナー」のみんなに協力してもらい証言練習会を行なってから今回の証言会に臨みました。
「私たちは戦時中、歌を歌うことも出来ませんでした。今でも当時の好きな歌を考えると、何も思い浮かびません。軍歌しか歌うことができなかったからです。音のコモ、中学生で兵隊に志願する人がたくさんいました。お国のために命をささげる、お国のためにものがなくても我慢する、と教育されていたからです。私の子どもや孫が、平和で幸せであることを祈っています。」
目にうっすら涙をためながら証言をする大村さんの姿を見ながら、終戦記念日という特別な日に、あらためて平和の尊さを感じました。
大村さんの証言を受け、おりづるユース特使の瀬戸さんは、戦争が過去の話ではなく今につながっていること、いま被爆者から若い世代へバトンを引き継ぐことの意義を訴えました。
証言会の後は分断都市ニコシアへ移動し、紛争当事者との交流を行ないました。
紛争当事者から話を聞いた後は、現在も国連平和維持軍が監視を続ける緩衝地帯・グリーンラインを越えてトルコ側の北キプロスへ。入国審査を受け一歩トルコ側へ足を踏み出すと、そこには雰囲気の違う町並みが広がっていました。
ギリシャ正教が多い南キプロスが祝日であっても、イスラム教のトルコ側では通常通りの日常が。
終戦記念日に、「紛争」が日常の一部となっている町にて行なった証言会。またこれまでとは違う、感慨深い一日となりました。
(ピースボート古賀早織)