第7回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」が出航する3月13日まで、残り1ヶ月半ほどとなりました!本日は広島被爆の6名、長崎被爆の2名参加被爆者であるのみなさんを、被爆経験の要約とともに紹介いたします。
【広島編】
李 鐘根(イ・ジョングン)さん
広島被爆 1929年8月15日生まれ 被爆当時15歳
広島県広島市在住
在日韓国人二世。父親は日韓併合により日本に強制連行された。当時、日本国有鉄道に勤務しており通勤途中に被爆。首や足に大やけどを負い身体にうじが湧くなどの被害を受けた。2012年春の第5回ピースボート「証言の航海」への参加をきっかけに証言活動を開始。アメリカ平和団体の取り組み「ヒバクシャ・ストーリーズ」に招かれニューヨークで高校生らに被爆経験を語る等、活動の幅を広げている。
服部 道子(ハットリ・ミチコ)さん
広島被爆 1929年3月10日生まれ 被爆当時16歳
埼玉県蕨市在住
戦時中、軍医部で看護業務に従事。被爆当日は、爆心地より3.5kmの地点で被爆し気を失うが、日本兵に叩き起こされ防空壕に逃げ込む。その後、三日三晩飲まず食わずで、火傷を負った人々の手当治療、死体処理に奮闘した。戦後は、広島を出て国内を転々とするが、原爆病や差別に悩まされ、辛い時期が続く。1985年より証言活動を開始。毎年、学校などで原爆の実相を伝えている。
坂田 尚也(サカタ・タカナリ)さん
広島被爆 1930年3月18日生まれ 被爆当時15歳
広島県三次市在住
旧制中学に在学中、爆心地から3km地点にある動員先の三菱重工の造船工場にて被爆。気を失い、気づくと窓ガラスの破片が腹や腕に突き刺さっていた。翌日、中心部にて大やけどを負った人の行列や川から流れてくる黒こげの遺体など、地獄絵図を見た。戦後も様々な病気に苦しむ。現在は、証言活動に尽力する一方で、まちづくり支援のNPOを立ち上げるなど地域活性化に取り組んでいる。
坂下 紀子(サカシタ・ノリコ)さん
広島被爆 1943年6月22日生まれ 被爆当時2歳
埼玉県所沢市在住
爆心地から1.4km地点の自宅にて被爆。強烈な爆風で数メートル飛ばされ、落ちてきた柱の釘で額を切る等の被害を受けた。その後、火の海の中を家族で避難している最中に黒い雨を浴びる。これまで積極的に証言活動を行ってこなかったが、昨夏、県遺族代表として6日の平和記念式典に出席したことをきっかけに、母の辛い記憶を伝えていきたいと少しずつ証言の機会を増やしている。
杉野 信子(スギノ・ノブコ)さん
広島被爆 1944年1月18日生まれ 被爆当時1歳
東京都世田谷区在住
爆心地から1.3km地点の自宅にて被爆。母親と自身は家屋の下敷きになったが隣人に助けられ無事だった。爆心地近くで学徒動員として作業していた兄は爆死。火傷がひどかった姉も被爆20日後に他界した。若年被爆者で記憶はないが、都内の被爆者の会に所属し証言会の手伝い等を通して被爆証言の聞き取りを行っていた。2012年、母親の記憶をもとに自身の証言を開始。
中村 元子(ナカムラ・モトコ)さん
広島被爆 1944年9月5日生まれ 被爆当時11ヶ月
広島県安芸郡在住
爆心地から2.3km地点の自宅にて被爆。中学生の頃、被爆当時に母親が行方不明の家族を捜すため自身を背負い市内を歩き回ったという話を聞き、放射能被害を意識するようになる。現在も、長女が甲状腺の病に苦しむなど世代を超えた影響に不安を抱いている。これまで証言経験は少ないが、2011年に広島市の要請を受け国連本部へ核兵器廃絶の要請書を提出する等、活動の幅を広げている。
【長崎編】
三瀬 清一朗(ミセ・セイイチロウ)さん
長崎被爆 1935年2月26日生まれ 被爆当時10歳
長崎県長崎市在住
爆心地より3.6km地点にある自宅にて、オルガンを弾いて遊んでいるときに被爆。とっさに目と耳を両手でふさぎ、うつ伏せになったところで強烈な爆風に襲われる。幸運にも家族全員無事だった。2003年より、年に20回以上、ボランティアガイドとして修学旅行生を対象に被爆遺構巡りを案内している。特に戦後世代の若者へ平和の尊さや命の大切さなどを伝えることを重視している。
計屋 道夫(ハカリヤ・ミチオ)さん
長崎被爆 1937年5月6日生まれ 被爆当時8歳
長崎県長崎市在住
爆心地から3.8kmの自宅にて強烈な閃光と爆風を経験し近くの防空壕へ避難。軽度の被爆で事なきを得た。戦後、高校教員として36年間教鞭をとる。2009年秋の第2回ピースボート「証言の航海」への参加をきっかけに証言活動を開始。帰国後は、長崎平和推進協会の継承部会員として国内での活動に取り組むほか、自身の手配により東南アジアを中心に海外の若者らへ核の被害の実相を伝える活動に尽力。
※「参加被爆者略歴」としてこちらのウェブページからもご覧頂けます
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以上8名の被爆者のみなさんが3月13日~6月24日まで証言活動に取り組みます。応援よろしくお願いします。2014年に入り、広島・長崎への原爆投下から69年が経過します。被爆第一世が語ることのできる時間は短くなってきています。おりづるプロジェクトでは今後も被爆者の方のお話を直接聞き、共に学ぶ機会を増やしていく予定ですので、皆様、ご参加ください。
おりづるインターン 茂木里穂