1.ヒバクシャ証言の航海

メキシコ~リーダーシップを取る国~

こんにちは。おりづるユースの寒川です。

寄港地での活動もいよいよ終盤に差し掛かり、11月8日にメキシコのマンサニージョにてプログラムを実施しました。

メキシコは早い段階から、核兵器禁止条約の実現を訴えるなど、核なき世界に向けた運動をリードする存在の国です。国レベルでは、核兵器禁止に向けた機運が高まっていますが、地方の州レベルではまだまだ関心が高いとは言えないのが現状です。私たちが訪れたマンサニージョ市はコリマ州に属しています。コリマ州は産業としては、鉱山や農業が盛んであり、メキシコの中でも失業率が低く、教育水準が高いことが特徴的な州です。

今回、私たちが訪れたのはコナレップという学校です。コナレップは半官半民で運営されており、高校と大学があります。大学では、エンジニアリングや医療、マーケティングなどを学ぶことができます。今回訪れたのはコナレップの高校であり、全校生徒は約700人です。そこでは、経理学科、観光学科、デジタルアート学科の三つの学科があり、生徒たちはそれぞれの専門性を身につけることができます。学校に到着すると早速、生徒が私たちを学校案内へと連れて行ってくれました。様々な学科があるということもあり、ホテルをモチーフにした実習室やパソコンルームなどユニークな施設もありました。私たちが見学をしていると、教室の生徒たちがにっこりと元気いっぱいの笑顔を振りまいてくれたことがとても印象的でした。

コナップの生徒たち

学校の講堂ではセレモニーがあり、様々な方が出席していました。まず、最初にマンサニージョ市長から挨拶がありました。彼女は、「核兵器は人の命を奪うものです。今回は被爆者の証言を直接聞く機会があります。この街、マンサニージョはおりづるプロジェクト皆さんの家です。ようこそいらしました」と歓迎の言葉を私たちにいただきました。次に、92回ピースボートのクルーズディレクターである上野大より、メキシコのみなさんへ挨拶がありました。挨拶の中では、ピースボートの紹介、草の根での交流が平和に繋がること、メキシコのコリマ州の核廃絶に向けた取り組みに感謝する旨を伝えました。

92回クルーズディレクター上野大

そして、おりづるプロジェクトメンバーであり、6歳の頃長崎で被爆された田河豊子さんから被爆証言をしていただきました。田河さんは原爆により、最愛のお兄さんを亡くされています。そのお兄さんとのエピソードを、遺影を見せながらお話しされました。最後には「もし核戦争が起これば、勝者はいない。敗者だけだ。みなさんと一緒に平和の砦を作っていきましょう。」と述べられました。

被爆証言をする田河さん

会場にいた聴衆も息を呑むような表情で真剣に被爆証言を聞いている姿がとても心に残っています。

被爆証言を聞く人たち

セレモニーの最後にはコリマ州知事から「民族同士の対立は破壊の威力を忘れてしまいます。人間には二面性があり、悪い方が支配してしまうと戦争になってしまいます。世界が混沌とした状況であっても、平和への道を忘れてはいけません。また、歴史のメッセージも忘れてはいけません。そのために行っているのが、被爆証言でありそれは非常に重要です。私は世界に連帯を示したい。」とのお話がありました。それを通して、改めて私は平和や被爆証言の継承の重要性を実感し、おりづるプロジェクトの活動の意義を再確認することができました。

コリマ州知事と握手

セレモニー終了後には、ピースボートの上野から州知事、市長へおりづるの柄が入った風鈴とオーシャンドリーム号の写真をプレゼントしました。

記念品贈呈

セレモニー終了後、会場をバスケットボールコートに移し、高校の生徒を対象に証言会を行いました。州知事から挨拶があり、ピースボート側から平和首長会議の原爆ポスターをプレゼントとして贈呈しました。

州知事の挨拶

次に、ピースボートの上野が若い世代が次のバトンをつないで行く必要性を生徒たちへ訴えました。そして、おりづるプロジェクトの坂下紀子さんから生徒たちへ被爆証言がありました。坂下さんは2歳の頃広島で被爆し、母親の被爆体験をお話されました。証言の最後に坂下さんは「原爆は非人道の極みであり、人類が滅亡します。二度と被爆者を出さないために、核兵器禁止条約に対してリーダーシップを取っているメキシコとともに頑張っていきたい。」と述べられました。

坂下さんの証言

ほとんどの生徒たちが顔を上げて、証言を聞いており、関心の高さがうかがわせられました。証言会の最後には、ピースボートから支援物資として、バレーボールを学校へ届けました。証言会終了後には、たくさんの生徒たちが声をかけてくれ、私たちをとても歓迎してくれているという気持ちが伝わりました。

証言を聞いている高校生たち

今回の活動では、州知事というとても権限を握っている人物に証言を届けることができました。メキシコは核兵器禁止条約の実現に向けて世界を引っ張っている国であり、その活動を、私たちの取り組みで少しではありますが後押しすることができたのではないかと思います。また、未来を担う高校生たちには大人になってからも、今回の証言を忘れず、平和の種を蒔き続けていて欲しいと願います。

証言会後の集合写真

文/おりづるユース 寒川友貴 編集/ピースボートインターン 鈴木慧南

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