3.核廃絶へのいろいろな動き

被爆・沖縄戦体験証言会ツアー

ピースボートは、旅行会社たびせん・つなぐと共催で「被爆・沖縄戦体験証言会ツアー」を実施しました。過去ピースボートクルーズの参加者やたびせん・つなぐのツアーに参加したことがある人が、中学生から80代まで15名参加しました。関東や九州から集まった参加者が、琉球以来の沖縄の歴史と文化を学びつつ、沖縄戦の戦跡、米軍基地と隣り合わせの現実を学びました。また、沖縄本島や宮古島では沖縄戦のことは知っていても、広島や長崎の被爆体験を聞く機会が非常に少ないので、同行した広島の被爆者・小谷孝子さんの被爆体験を沖縄の中高生や一般の方に向けて話す機会も作りました。

沖縄に残る戦争の爪痕と現在

沖縄がアメリカ統治下だったころ、4つの米軍基地に核ミサイルが配備され、その数は1,300発もあったことを学びました。恩納村にある核ミサイルメースB発射台跡地は、4つの基地のうち、唯一残っています。

8つの核ミサイル発射台跡

1962年のキューバ危機の際には、ボタンを押せばすぐに発射できる状態にまで臨戦態勢が取られていました。「もし実際に発射され、日本は核兵器の被害と加害の国になっていたと思うと恐ろしい」と参加者の一人が感想を述べていました。

宜野湾市にある 佐喜真美術館には、丸木位里・俊夫妻の「沖縄戦の図」が展示されています。佐喜真館長による沖縄戦の図の解説や、6月23日慰霊の日に合わせてデザインした屋上を見学しました。また、この美術館の土地は普天間基地から返還された場所で、美術館の目の前まで基地が迫っているという事実も目の当たりにしました。

宮古島に移動した後は、隣りの伊良部島に渡りかつて自衛隊誘致反対運動が起こった出来事を聞いたり、日米合同軍事演習が行われた渡久地の浜などを訪れました。日本軍「慰安婦」のいた場所や、自衛隊施設がどんどん増えていることなどから、今もなお日常生活の隣に軍事がある宮古島の一面を学びました。

日本軍「慰安婦」の碑

宮古島の自衛隊施設

 

証言会を通して、過去を知り未来につなぐ

1回目の佐喜真美術館では、6歳の時に広島で被爆した小谷孝子さんと11歳のときに沖縄戦を体験した玉木利枝子さんによる証言会を開催しました。約50名近い沖縄の方が訪れ、会場にいる全員が、お二人の言葉に真剣に向き合いました。
「沖縄も広島も長崎も、日本中で起こった空襲も、どこが悲惨だったのかなんて、簡単に比較できるものではないし、比較するものではない。この悲劇を繰り返さないためにも戦争はしてはいけない」 の玉木さんの言葉は、聞いていた人の心にわかりやすくも強く染み込んでいました。

被爆者の小谷孝子さん(左)、沖縄戦体験者の玉木利枝子さん(中央)、ピースボート渡辺

2025年10月5日 NHK沖縄
戦後80年 広島の被爆者と沖縄戦体験者の証言を聞く 宜野湾
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-5090032991

2025年10月29日 琉球新報
原爆と沖縄戦 体験を共有 佐喜眞美術館 小谷さん、玉木さん証言
https://ryukyushimpo.jp/news/region/entry-4727976.html

2回目は、栄町市場にあるひめゆりピースホールをお借りして実施しました。このひめゆりピースホールは、ひめゆり学徒隊の母校である「沖縄師範学校女子部(女師)」や「県立第一高等女学校(一高女)」があった場所につくられました。

高校生平和ゼミナールの中高生にむけて

最初の1時間は 平和学習などをおこなう高校生平和ゼミナールの中高生に向けてピースボートの渡辺里香が、ピースボートで働くきっかけや国際交流の面白さや難しさなど自身の経験を話しました。その様子は地元新聞の琉球新報さんにも取り上げられました。

2025年10月6日 琉球新報
被爆者証言各国に発信 ピースボート渡辺里香さん 平和ゼミ生と交流
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-4675785.html

後半は、中高生や地元市民にむけて小谷孝子さんが被爆体験を話しました。腹話術人形のあっちゃんは子どもたちに大人気で、大事そうに抱っこする子や、実際に目を動かして腹話術に挑戦する子もいました。

 

3回目となる南城市にある佐敷教会では、長崎で被爆したお母さんの体験を語り継いでいる樋口恵子さんや、「すくぶん」というチーム名で歌や三線で沖縄戦のことなどを伝える活動している新垣成世さんも登壇しました。沖縄戦のことやその後の復興への想いが込められた民謡には考えさせられました。

歌や三線で沖縄戦のことなどを伝える新垣成世さん

 

4回目からは宮古島で、ピースボートの渡辺里香、小谷孝子さん、樋口恵子さんの3名は、 就労継続支援をしている宮古島カルディアにて、証言会を行いました。約30名の方が、初めて聞く被爆の話に真剣に耳を傾けてくれました。

最後5回目は、宮古島の市民約40名に向けた証言会でした。今回のツアーで沖縄戦のことを学んだ被爆者の小谷孝子さんは「これからは被爆体験だけでなく沖縄戦のことも学生たちに伝えていきます」と力強く話しました。参加した宮古島の方々は嬉しそうに頷き、なかには涙を流す人もいました。証言会に参加した高校生からは「今回、英語の先生に進められて参加しました。来て本当によかったです。思い出すのも、お話するのもつらいことを希望を感じられる形でお話頂けた」というコメントが出ました。

腹話術人形のあっちゃんと共に被爆証言をする小谷孝子さん

長崎で被爆したお母さまの話をする樋口恵子さん

 

今回の沖縄での学びを経て、核兵器廃絶に向けて活動する人がいる一方で核兵器使用の危機が高まりつつある今の世界。核兵器の使用を防ぐには、学びあいながら力を合わせて行動していくことの必要性を改めて認識しました。

このツアーの全体報告はこちら:沖縄戦の体験や軍隊について学ぶ「沖縄ツアー」を行いました

文:渡辺里香

 

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