2008年_第1回ヒバクシャ地球一周(第63回ピースボート)

被爆アオギリが取り持つ広島とドミニカの絆

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ミラドール・デル・ノルテ公園のアオギリの若木

11月23日、モナリザ号はドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴに入港。船からは世界遺産の旧市街の美しい石壁が見える。1492年、コロンブスがアメリカ大陸を”発見”し、サント・ドミンゴは最初の入植地として発展した。街は城壁の中に広がり、ところどころに砲台も設けられている。

おりづる一行はバスに乗り、コロンブス灯台を訪れた。海岸近くに現れる巨大な建造物は、横から見るとマヤのピラミッドのように見えるが、上から見ると巨大な十字架の形をしており、その内部にはコロンブスの遺体が安置されている。コロンブスによりイスパニョーラ島(小さなスペイン)と名付けられたこの島では、スペイン人が入植し先住民を虐殺・虐待した。その後、島の西側3分の1がフランス領を経てハイチ共和国となり、1844年、島の東側3分の2がドミニカ共和国として独立した。ちなみに先住民への迫害に異を唱え、保護を訴えたのがドミニカ教会であり、それが国名の由来となっている。

53年前の昭和30年、日本政府は引き揚げ者の増加と食糧不足対策として、ドミニカへの移民を政策とし、移住希望者へ農地の提供を約束した。それを受けて549家族、1309人が夢を託してドミニカに入植したが、移民たちに与えられた土地は、まったく整備されていない荒地やハイチとの国境に近い治安の悪い場所だった。移民たちは互いに助け合いながら生活したが、あまりに劣悪な環境はなかなか改善されず、1960年代になりようやく日本政府が、帰国や南米への再移住を斡旋するようになった。残った人たちで現在の第4世代まで日系社会を作り、47家族900人がドミニカ共和国で生活している。

我々が訪れたミラドール・デル・ノルテ公園には、広島で被爆したアオギリの木の2世が日系移民の手により2本植樹されている。大きいアオギリは8年前に日系の日高俊恵さんが植え、小さい方は今年の8月6日、在ドミニカ日本大使を招いて植えられたもので、ドミニカ全土には21本の被爆アオギリの子孫が植樹されている。

在ブラジルヒバクシャの森田隆さんと渡辺淳子さんがおりづるを代表して挨拶し、参加した10数人のドミニカ移民の人たちと堅い握手を交わした。森田さんは「我々、ブラジル移民と同じようにドミニカ共和国に移民した人たちに会うことを夢見ていた」と、念願の出会いに感激した面持ち。

ドミニカ日系人協会の嶽釜会長は「原爆に耐えて青葉を茂らせているアオギリは、ドミニカ共和国の日系人にとっても希望であり日本人の魂」とヒバクシャと自分たちの思いを重ね合わせた。

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ドミニカ移民の人たちと握手をする渡辺淳子さん

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挨拶をするドミニカ日系人協会の嶽釜会長

これまでドミニカに移民した人々のうち143名が失意のままドミニカで亡くなっている。日本政府に騙されて見捨てられたことが許せないという思いはあるが、日本人としての誇りを支えに生き抜いてきた。現在では、山間部に住む日系人が花卉・農業の分野で活躍しているという。佐藤廣枝さんは「数年前に広島で開催した原爆関連のイベントで、ドミニカの人が作ったアオギリの歌が流れていたことを思い出した。これまで移民した人たちにこんな苦労があると知らなかったことが恥ずかしい」と述べた。

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被爆アオギリの歌のエピソードを語る佐藤廣枝さん

公園をあとにして、交流会場のホテルに到着。ドミニカの国民的人気歌手、アリシア・バローズさんがラテンの陽気な音楽、メレンゲにのせて自作の曲を数曲歌う。その中には佐藤さんが広島で聞いた歌も入っていた。
「ヒロシマ・ナガサキの名前は知っていたが、ヒバクのことを本で勉強しショックを受け、その苦しみを自分の苦しみとして受け取った。日本に行くのは夢だったが、被爆50周年の際に作った歌が縁で、60周年には広島に招待され平和コンサートを開催できた。その時、広島平和公園にある被爆アオギリに初めて会ったし、人々の努力で復興した広島は人間性の象徴だ」とアリシアさんは語った。

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ヒバクシャを前に熱唱するアリシア・バローズさん

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古市文子さんからバローズさんご夫妻に折り鶴のレイが贈られた

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