6月1日、ピースボートはコペンハーゲンに入りました。船を下りた途端、自転車の多さ、自動車の少なさも目に付きます。午前中、ヒバクシャたちは2手に分かれ、高校訪問と市庁舎にてコペンハーゲン市長への表敬訪問を行いました。
市庁舎は100年以上も前に建てられたレンガ造りの立派な建物で、分厚い扉の前では、パグウォッシュ会議デンマーク代表の物理学者ジョン・アベリー博士が、満面の笑みで腕を広げて迎えてくださいました。
コペンハーゲン市の文化局長さんはピア・アレスレブさん、女性の方です。「7人の局長のうち、3人が女性よ」とのこと。民主主義が深く根付いたこの国では、男女雇用均等も当然の権利であり状況であると受け入れられていると感じました。私たちピースボートについての説明や、中谷悦子さんのヒバクシャ・プロジェクトを代表したスピーチには、深く頷きながら聴いておられ、返答として、彼女自身が学生の時にヒロシマナガサキの話を聞いたときに受けた衝撃の記憶と、コペンハーゲン市の平和や環境への取り組みをお話くださいました。そして市庁舎の伝統で、特別なゲストのためという甘いパンケーキを出してくださいました。短くもあたたかいおもてなしに感謝しました。
その後、ヒバクシャ一行は合流して、クリスチャンシャブンス高校で学生と市民約30人を対象に被爆証言を行いました。「おりづるパートナー」と一緒に作った紙芝居を使って柳生研太郎さんが証言をし、学生や先生方、そしてメディアからも多くの質問が出ました。この夏休みに広島を訪れたいという学生さんとは近い再会の約束をしました。
サンドイッチとお茶の昼食のあと、平和活動家グループ「ピースウォッチ」にあいさつをしにいきました。このグループは、デンマークのイラク派兵やその他の紛争や不平等に反対し、10年近くも毎日国会議事堂の前でテントを張りつづけ、戦争反対の意見表明をしています。傘を飛ばされながら談笑したところ、これまで3000日以上に渡り雨の日も雪嵐の日もこの場所での存在を守り続けていると教えてくださり、驚きました。ピースボート入港のこともご存知で、健康とご活躍をお祈りしながらヒバクシャ全員堅い握手でお別れしました。
場所を移動して、次はアンデルセンも訪れたという美しい庭を持つ会場で、50名ほどの市民との平和交流会で田中健二さんと兒玉光雄さんが証言しました。しとしと雨の降るあいにくの天気でしたが、会場は多くの人でいっぱいで、2人の熱のこもった証言に応えて歌ってくださった平和の歌が鳴り響いていました。この平和の歌、実は高校でも歌っていただいたのですが、すこしメランコリックな美しいメロディーでした。
(小松真理子)
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