3月26日(土)、私たちはサウジアラビアのジェッダを訪問しました。その報告を送りします。
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3月26日、本来の航路にはなかったサウジアラビアのジェッダに入港しました。
基本的に観光客を受け入れないサウジアラビアに私たちが入港できたのは、このおりづるプロジェクトに対しジェッダ市の市長である、ミシャル王子が賛同し歓迎してくださったからでした。
そんな経緯と国王の息子である王子に会うということで、被爆者もスタッフも緊張した面持ちで王子がいるという市庁舎へ向かいました。市庁舎といっても、日本で想像するようなものではなく、重厚な建物の入り口は厳重な警備体制がしかれ、一般市民は私たちとやはり表敬訪問のために訪問していた知的障がい者の方たちのみでした。もちろん服装は敬虔なイスラム教徒の国ということで、女性はアバヤという全身を包み顔だけが露出する民族衣装に身を包んでの訪問です。
面会室に通され、王子を待っていると数人の部下を連れ、品の良い民族衣装をまとった王子が現れました。王子は被爆者一人一人と握手を交わしました。
王子は「ジェッダへようこそ。日本の震災を心からお見舞い申し上げます。私たちたちにできることは言ってください。日本の復興をアラーの神に祈っています。世界の国々が日本をサポートする準備をしていますが、サウジアラビアはその先頭に立ち、早く元に戻れるよう支援をし続けます」と挨拶をしてくださいました。この言葉を聴き、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして被爆者代表として平井昭三さんが挨拶と被爆証言をされました。それに対し、王子はイスラム教がどれだけ対話を重視しているかという話をしてくださいました。
‘イスラム’や‘中東’と聞いて多くの日本人が思い浮かべるのは‘テロ’や‘過激派’という言葉ではないでしょうか。しかし、実際の世界はまったく違うのです。イスラム教徒や中東の人々は、対話を重視し、相手を尊重し、平和を願っているのです。限られた報道やイメージで物事を判断するのではなく、グローバルな視点を持って物事を見極めなければなりません。
私たちは、この訪問で一つ今までとは違う視点をもつことが出来たと思います。事実、ある被爆者はジェッダ寄港後「イスラムのイメージが今までと全く変わった」と語りました。この訪問を歓迎してくださったジェッダのミシャル王子に心から感謝したいと思います。
(上 泰歩)
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