3月27日、ピースボートはギリシャのアテネにほど近いピレウス港に寄港しました。おりづるプロジェクトがギリシャで証言プログラムを行うのは5回目となります。毎回受け入れをしてくださっているのは現地で活動しているハリスさんです。ハリスさんは地域の小学校などに呼びかけを行い、事前学習やポスターの作成などをしてくださっています。今回もそんな彼の努力のおかげで証言会を実施することができました。
証言会は小学生だけでなく保護者や地域住民も参加できるようにと夕方からの実施となりました。そのため証言会の前には少し時間をとってアテネのパルテノン神殿や古い建物が建ち並ぶプラカ地区の散策などを行い、みなさんリフレッシュをされたようでした。
証言会には、おりづる参加被爆者だけでなく、一般乗船者も参加をしました。また、東日本大震災で災害支援をしているNPO団体「オンザロード」が、ピースボート乗船にあたり東日本の復興を願って東北の人々と作りあげた「World元気神輿」も地元の人々との交流の一環としてこのツアーに部分参加しました。
学校に到着すると先に到着していた「World元気神輿」がグラウンドに用意され、オンザロードのメンバーから小学生や地域の大人たちへむけてに御神輿の担ぎ方のレクチャーが行われていました。数回グラウンドで練習を行ったあと、「World元気神輿」は多くの人に担がれながら学校周辺の街を練り歩きました。街には復興の願いが込められた「おいさ」「そーりゃ」のかけ声と神輿の賑やかな音が鳴り響いていました。
地元の人たちとともに「World元気神輿」を担いで街を練り歩く
「World元気神輿」を担いでピースボートからの参加者とギリシャの方々が少しうち解けてきたところで、証言会が始まりました。今回のプログラムをコーディネートしてくださったハリスさんや、校長先生のご挨拶があったあと、生徒たちからのサプライズプレゼントとして歌が披露されました。一曲はザ・ビートルズの「Imagine」、もう一曲はギリシャの伝統的な歌でした。突然の歌のプレゼントに、おりづるのメンバーは驚くとともにとても感動されていました。
会場はイスが足りなくなるくらい超満員に
子どもたちから歌のプレゼント
証言会では、李鐘根さんがお話しをされました。李さんは、父親が強制連行され、母親は父親を追いかけて日本に移住したため日本で生まれ育った在日韓国人二世です。そんなご自身の生い立ちを少し紹介し、その後ご自身がどのように被爆されたのか当時の状況をお話されました。
壇上で証言をされる李さん(前列左)
質疑応答の時間には子どもたちからの率直な質問が出されました。そのなかでも印象的だったのは「原爆の音はどんなものだったのか」という質問。李さんは「当時、空襲があったときには耳・目・鼻をふさいでいたから音はわからない」と返答されました。子どもの発想にはいつも驚かされるところがあります。そのほか戦後の復興のプロセスや福島原発の事故に関しても質問があがりました。
質疑応答では競うように手が上がる
会の最後には、被爆者のみなさん一人一人にオリーブの木で出来た冠がプレゼントされました。オリーブはギリシャでは平和の象徴だとのこと。子どもたちから一人一人冠を受け取り、おりづるメンバーは非常に嬉しそうでした。
オリーブの冠を受け取る石川律子さん。自然に笑みがこぼれる
山田一美さんも冠を渡してくれた子と記念撮影
証言会のあとには、学校側が用意してくださった夕食を楽しみ、お礼をして岐路につきました。
後日おりづるプロジェクトのメンバーからは、「ギリシャの子どもたちの意識の高さに驚かされた。日本でもあそこまでしっかり教育している学校は少ないのでは」との感想があげられました。これまでおりづるプロジェクトとして毎回ギリシャを訪問し、学校での証言会を実施していますが、一様に子どもたちの意識の高さが伺えます。今回も例外ではなく、子どもたちの熱心さに励まされエネルギーをもらう証言会となりました。
山田一美さんと子どもたち。とてもいい国際交流ができたよう
(おりづるプロジェクト担当 上泰歩)
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