こんにちは。
昨年夏、第6回「証言の航海」に参加していた瀬戸麻由です。
ニューヨークで4月28日~5月8日のヒバクシャ・ストーリーズのプログラムを終え、先日無事帰国いたしました。
プログラム参加を通して感じたことを、お伝えしたいと思います。
(ヒバクシャ・ストーリーズの証言会の様子は、こちらの記事をご覧ください。)
今回のヒバクシャ・ストーリーズへの参加を通して、私が感じたこと、学んだこととして、大きく3つありましたので、ここでみなさんに共有させていただけたら幸いです。
一つ目は、限られた「証言セッション」の時間でいかにメッセージを伝えるか、工夫を重ねることの大切さ。
期間中ヒバクシャ・ストーリーズによって行われた証言会は20回以上。その一回一回の被爆者との出会いは、生徒さんたちにとっては一生に一度の出来ごとになります。
その大切な出会いを、より心に響くものにするには?
そこから生徒さん一人一人の実際のアクションにつなげるには?
被爆者・ファシリテーター・通訳・運営スタッフ・高校の先生たち、誰一人として工夫が必要ない役割は存在せず、まさにチームが一丸となって証言会を作り上げる様子を見ることができました。
二つ目は、そのチームの中で今回私が参加した意義について、そして証言会の場における若者の役割の重要性についてです。
今回私は証言会に参加する中で、広島の被爆3世として、また核軍縮の活動に関わる若者として発言する機会が何度もありました。
一日の終わりの振り返りミーティングの中で、「自分の父親・母親世代のオトナから教えられる形ではなくて、同世代や少し年上の人が伝えることで、生徒さんも『自分も何か出来るんじゃないか』という気持ちを持てるはず」という発言もありました。
「被爆者の証言・チームとしてのメッセージを現地の若者に伝える架け橋の役割をする。」
・・・これは昨年夏の航海におりづるユース特使として参加した時にも意識していたことですが、チームの中で役割を再認識することで、発言の内容や生徒さんたちへの接し方も変わってきたように思います。
笹森さんと、キャスリンさんと、証言会で登壇することもありました。
そして最後に、国際会議場や高校など、「伝える」場所は多々ありますが、それぞれに意義があるのだということ。
4月29日のNPT再検討会準備委員会、国連の本会議場では、広島の被爆者である山田玲子さんが証言する場面がありました。しっかりと意見を述べる山田さんの姿を見て、国を動かす力を持った人々に直接メッセージを伝える重要性を感じました。
そして一方で、会期中通して行った高校生への証言活動も大切です。笹森恵子さんがある高校での証言会を終えた後、校舎を出たときに声をかける生徒さんたちがいました。
「私のこと覚えていますか?去年、あなたの証言を聴きました!」という生徒さんたちに囲まれる笹森さん。一生に一度のヒバクシャとの出会いは、その後も彼ら彼女らの心に残り続けるのだと実感しました。
「今、目の前にいる人ひとりに伝えることで、世界はどれほど変わるんだろう。」
という迷いや不安を超えて、実際に伝え、伝わることで一人、また一人と意識が変わっていくことが、本当に世界を変えることにつながるのだと感じます。
ヒバクシャ・ストーリーズは5年間の地道な証言活動を重ね、直接メッセージを伝えられた人は3万人に及ぶそう。「平和の種をまく」活動なのだと言いますが、私自身、4年前におりづるプロジェクトに出会って「種」を受け取った一人です。
彼らのまき続ける「種」が一つでも多く芽吹くように、私にできることは何だろう?
気の引き締しまる思いで、ニューヨークを後にしました。
(瀬戸麻由)
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