1.ヒバクシャ証言の航海

日本と似ている国@フィンランド

フィンランドでの活動は、現地メディアにも取り上げられました。
フィンランド語ではありますが、記事とともに映像での報道もなされておりますので、宜しければ下記リンクよりご覧ください。
http://www.iltalehti.fi/ulkomaat/201706012200176257_ul.shtml

それでは、下記より本船からのレポートをご覧ください。
(2017.6.7 ピースボート 佐久間 追記)
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みなさんこんにちは。
ピースボートインターンの鈴木慧南です。

5月31日(水)にフィンランドのヘルシンキに寄港したので、そのときの様子をお伝えします。

フィンランドはノルウェーやスウェーデンと並び、冷戦時代に独自の中立対策をとり東西のバランスを保ってきた北欧スカンジナビア諸国の一つです。
冷戦後には欧州連合には加盟しましたが、北大西洋条約機構には加盟していません。
核兵器禁止条約に関しては、核軍縮の必要性を主張するオーストリアの共同声明にも、「核の傘」が必要だと主張するグループの共同声明にも賛同を表明するなど、慎重で中立的な立場を保ってきています。
そのため、核兵器禁止条約の交渉開始を求めた国連決議には棄権しています。
また、現在4基の原子力発電所が稼働しており、エネルギーの1/3を原発に頼っています。ほかにも、建設中のものが1基(オルキルオト3号機)と計画中のものが2基あるそうです。
また、原発のある西岸部のオルキルオトに高レベル放射性廃棄物の最終処分場(名称:オンカロ、2022年に完成の見通し)をつくることを2001年に決めており、岩盤の奥深くに10万年に渡って埋めておくという計画を現在も進行しています。

フィンランドの中心街

最初に、受け入れ団体であるフィンランド平和連合のラウラさんより、現在のフィンランドの核に対するスタンスなどを聞きました。
フィンランドは平和市長会議の加盟都市がとても少ない都市ですが、昨年にはヘルシンキが新しく平和市長会議に加盟しました。
長年核軍縮には積極的な姿勢を見せていますが、核不拡散条約(NPT)のほうを重要視しているようで、核兵器禁止条約の交渉会議にはなかなか参加しづらいというのが現状です。

次にフィンランドの外務省を訪れ、外務省で核兵器問題を担当しているJarmo Viinanen大使と面会しました。
忙しい公務の中、日本の被爆者の方々がフィンランドにくるということで喜んで面会してくださいました。
ここでは、広島で被爆した土田和美さんが短いスピーチを行いました。
一国の大使の前での発言は初めてだったため、こちらにもわかるほどに緊張されていましたが、想いが伝わるような力強い証言だったのではと感じています。
大使からは、フィンランドと日本の核兵器に対するスタンスは似ているとのお話がありました。
軍縮を求めてはいるものの、近隣諸国の核兵器に関する脅威などがあり、気軽に核兵器禁止条約へ参加することができなくなっているとのことでした。


Jarmo Viinanen大使


スピーチを行っている土田さん

次に、国会を訪れ市議会の議員の方々と面会しました。
この日はちょうど、証言を行う時間と重なるタイミングでフィンランドの安全保障に関する重大な会議が開かれていた中、2名の方が公務中にも関わらず、時間を作って私たちと面会してくださいました。

ここでは長崎で被爆した三瀬清一朗さんがスピーチを行いました。
三瀬さんは証言に合わせてヒバクシャ国際署名のお願いをしたところ、市議会議員のセミさんは快くその場で署名をしてくださいました。
国としてのスタンスが慎重であるにも関わらず、個人として署名をしてくださったセミさんの勇気に感謝したいです。


スピーチをしている三瀬さん

国際署名をしてくれた市議会議員のセミさん

セミさんからは、この議会に被爆者の方が訪れているということが重要であり、これからは軍拡ではなく、友好を築くためにお金を使っていくべきだとの主張がありました。

最後に中心街のカフェに移動し、NGO団体と意見交換を行いました。
かわいらしいカフェの中で証言をしたのは、広島の被爆二世である砂原由起子さんです。
被爆の様子を表した地図などを用いて、なるべくわかりやすく証言を行いました。


集合写真

とても多くの、そして年齢的にも若い方々に参加してもらい、有意義な時間を過ごすことができたと思います。
証言の後は小グループに分かれて意見交換会を行い、証言を聞いてどう思ったのか、自分たちはどのような活動をしているのかを話していました。
現地の人たちはまだまだ証言を聞き足りなかったようで、おりづるプロジェクトのメンバーほとんどから新たに証言を聞いていました。


意見交換の様子

日本と同じようなスタンスをとる中、核兵器禁止条約の交渉を求める決議にフィンランドは棄権し、日本は反対をしています。
中立的な立ち位置にある国々のスタンスを一つずつ変えていくことが必要であり、それにはNGOや市民団体が世界規模で一丸となっていく必要があると思います。

ピースボートインターン 鈴木慧南

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