1.ヒバクシャ証言の航海

チェルノブイリを経験した国@ロシア

みなさんこんにちは。
ピースボートインターンの鈴木慧南です。

5月30日(火)にロシアのサンクトペテルブルグに寄港しました。
そこで活動した際の様子をお伝えします。

ロシアはアメリカと並んで核保有大国です。
また、エネルギーの20%近く(2015年)を原子力発電でまかなっているものの、2050年までに全電力に占める原子力の割合を45%~50%にまで高め、今世紀末には70%~80%まで高めることを想定しているそうです。
2014年にロシアがウクライナからクリミア半島を併合する過程で「核兵器を使用する準備を進めていた」とテレビのインタビューで答え、物議を醸したのはみなさんの記憶にも新しいかもしれません。
近年の核兵器の非人道性に関する議論や核兵器禁止条約の交渉には、ひと際強く反対しており、その態度は核保有国の中でも目立っています。
通常兵器や経済力において、アメリカに対して劣勢にあると感じているロシアは、むしろ核兵器の価値に重きを置こうとする傾向があります。


サンクトペテルブルグの街並み

プログラムでは最初に、サンクトペテルブルグの中心に浮かぶ、水上原発の外観を見に行きました。
水上原発は近年の技術の進歩によって開発されたもので、実験的な水上原子力発電が2基、中心部の川の上に浮かんでいます。
この2つの原発は船の中に内蔵されており、移動することが可能です。
水上原発は国内の電力消費に役立てられるのではなく、その技術を海外に輸出するために開発されました。
しかし原発自体が小さいため、通常の原発よりもエネルギー供給量が少なく、7倍以上のコストがかかると言われています。
また、水上に原発があるためテロの標的になる危険性が高く、安全面でも懸念点が多いのが現状です。


水上原発

ここで、チェルノブイリ原発事故で被曝された2人の男性と、ピースボートと長い付き合いのある環境活動家のアンドレイさんも合流しました。
私は2年前の第8回おりづるプロジェクトでもサンクトペテルブルグに寄港し、アンドレイさんと一緒に証言会を行ったことがあるので、うれしい再会でした。
また、忙しい中にも関わらず、市議会の議員さんも被爆者の方に会いに来てくれました。


チェルノブイリの被曝者の方と記念写真

次に、サカロヴァ公園にある長崎の鐘を見にいきました。
長崎の鐘は、爆心地から600mの場所で廃墟と化した浦上天主堂の鐘楼にあったもので、奇跡的に掘り出されて、現在長崎にある平和公園にも設置されています。1988年8月9日に、同じ戦争によって900日間包囲され、多くの被害者が出たサンクトペテルブルグのことを慰霊して、長崎の被爆者や市民の洗罪によって建立されました。長崎出身の三瀬さんにとっても懐かしい出会いになった様子でした。


長崎の鐘と三瀬さん

次に、同じ公園にあるチェルノブイリの原発事故の記念碑を訪れました。
サンクトペテルブルグが誕生してから300年にあたる、2003年に記念として建てられました。
この記念碑はチェルノブイリの被曝者だけではなく、世界で放射能の被害にあった人々のために作られたそうです。
毎年4月26日には、この記念碑の前で慰霊祭が行われています。
チェルノブイリの事故から今年で31年が経過し、その当時を知る人々も年々減ってきているそうです。


チェルノブイリ原発事故の記念碑

次に場所を近くのホテルに移してから、意見交換会を行いました。
ここでは広島で被爆した田中稔子さんが証言を行い、自身の被爆体験だけではなくチェルノブイリや福島の事故に触れた発言をしました。
証言の中で稔子さんが「自分が被爆しているから、子どもに申し訳ない気持ちがある」と言っていたことに対して、チェルノブイリの被曝者の方は「あなたは何も悪いことをしていないのだから、そんな風に思わなくていい」と優しく、そして力強く声をかけていたのが印象的でした。


稔子さんが証言をしている様子

その後にチェルノブイリの原発事故で被曝したお二人が証言をしてくれました。
ウクライナ出身のタベルさんは、1986年に軍の命令で医療従事者としてチェルノブイリへ派遣され、そこで放射線を浴びました。チェルノブイリに住んでいた友人のほとんどは亡くなっているそうです。

レニングラード(サンクトペテルブルグの前の名称)出身の方は、核兵器の実験が世界の環境にどう影響を及ぼしたのかを研究しており、チェルノブイリの際は収束作業を行っていました。現在、チェルノブイリを経験している人の10人に8人は亡くなっており、あと5年か10年もすれば、チェルノブイリの収束作業に関わった人たちは亡くなっていくだろうと話していました。

またお二人は31年前の事故を経験しているからこそ、新しく建設されようとしている原発への反対や水上原発の即時廃棄を求めている活動を行っています。


チェルノブイリの被曝者の方

日本は核保有国ではありませんが、アメリカの核の傘の元にあり、電力を原子力発電に頼り続け、福島の事故を起こしたあとも4基の原発が稼働しています。
その過程は、核保有国でありチェルノブイリを経験してもなお、原発に多くのエネルギーを頼るロシアの歩みにどこか似ているところがあるかもしれません。世界が経験した大きな事故を繰り返さないためにも、エネルギーとの付き合い方を考え直し、再生可
能エネルギーの道を真剣に模索する必要があると強く感じた1日でした。

集合写真

ピースボートインターン 鈴木慧南
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なお、上記の通り現地で証言された田中稔子さんの証言内容が、アンドレイさんのご尽力によりロシア語に翻訳され、WebにUPされました。
よろしければ、どうぞご覧ください。

http://bellona.ru/2017/06/05/tanaka/
(ピースボート 佐久間)

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