1.ヒバクシャ証言の航海

14万羽の折り鶴を生み出す国@スコットランド

みなさん、はじめまして。
第95回ピースボートでのおりづるプロジェクトが始動しました。
今回のプロジェクトのユース非核特使としてロンドンから乗船中の浦田沙緒音(うらたしおん)です。

10月3日の寄港地は、スコットランド(エディンバラ)でした。
今回私たちは、海洋と気候変動アンバサダー(気候変動により国土が消失してしまうような主には島国の若者たち)と一緒にスコットランド議会を訪れ、2000年に行われた核廃絶の会議にも参加された議員のビル・キッド氏(スコットランド独立党内幹事長)を含む議会関係者の方と「核兵器と気候変動」というテーマのもと意見交換を行いました。
スコットランドは、2014年にイギリスからの独立を問う国民投票が行われ、反対がわずかに多数で否決され、独立にはなりませんでした。
独立派は、スコットランドが非核国になることを求めていたのです。というのも、スコットランドには、イギリスの保有するトライデント型(トライデント核兵器システム)潜水艦が拠点となる唯一の海軍基地があります。そのため独立が決まり非核化となれば、核保有国であるイギリスから核兵器の基地がなくなることとなります。
イギリス国民からすれば核兵器の存在は遠いわけですが、スコットランドの人々にとっては、自分たちが望んでもいない核兵器が身近に存在しています。
実際に1950年、イギリス国会でスコットランドでの核実験を行う決定がなされましたが、決行日に雨が降ったために中止となり核実験は行われませんでした。しかし、そういった立場であることは事実なのです。

国民投票で独立は否決されましたが、スコットランドの首相であるニコラ・スタージョン氏(スコットランド国民党)は、イギリスからの独立推進派であり、議員の中でも反核派が殆どです。そのため、独立に関する再投票がされる可能性も高いと言われています。
意見交換の場では、木村さんが被爆者として発言され、核廃絶とヒバクシャ国際署名への参加、賛同を求めました。
会議終了後には、ビル氏に署名してもらうことができ、スコットランドとしても積極的に核廃絶に対して行動していくと声をいただくことができました。

議員のビル・キッド氏(スコットランド独立党内幹事長)から署名をもらう木村さん

議会を後にしたあとは、街中を少し移動し、ストーリーテリング・センターにて、センターの館長ドナルドさんに、センターの説明をしてもらいました。

スコットランドの町並み

このセンターは、障害を持つ子どもや経済的に学ぶことができない子どもの学ぶ場として設立されました。

施設の様子

今回は、ここでスコットランドの伝統料理を頂きながら、このあと訪問したピース・ジャスティス・センターの代表であるデーヴィッド氏と交流をしました。

※交流を楽しむ木村さんと浦田さん

その後、ピース・ジャスティス・センターへ向かい、地元の活動家のみなさんと意見を交わし、各々折ってきた折り鶴を渡しました。

※作ってきた折り鶴などを渡すところ

 

※80歳を過ぎても活動するおばあさん

ピース・ジャスティス・センターには、日本人のスタッフであるアツコさんという方がいて、彼女が広島で亡くなった被爆者14万人を表す14万羽の折り鶴を折るというプロジェクトを行っています。悲しいことに今年の初め、彼女は他界してしまったそうですが、その後も彼女の意志は受け継がれ、今現在1万4千羽の折り鶴が集まっているそうです。

※プロジェクトの説明をするデーヴィッドさん

国境を超え、このスコットランドで広島と長崎を思い、活動している議員の方や活動家のみなさんがいるということは、私たちにとってもとても嬉しいことでした。

※証言をする木村さん

短い時間の中でのスコットランド、エディンバラ訪問でしたが、とても密な時間となりました。

 

 

【浦田沙緒音さんの自己紹介】

東京都出身、京都在住で大学院修士2年。被爆三世です。
2003年のイラク戦争をきっかけに、友人たちと平和活動団体「発信する子どもたち」を立ち上げ、平和Tシャツの販売やワークショップなどを通して発信してきました。
芸術という表現方法でこそ多くの人に伝える力があると確信し、芸術家を目指していた高校生の時に東日本大震災が起こり、京都造形芸術大学進学と同時に京都へ移住しました。
主に「存在の痕跡」をテーマにした作品、社会的要素のある作品を制作、研究しています。

2014年から緑の党京都府本部の共同代表を2年務め、昨年はSEALDs KANSAIにも関わり、現在は関西市民連合でも活動、主に選挙に関する活動に携わっています。
母の地元が広島で血縁に原爆歌人の正田篠枝氏がいること、父方の祖父が長崎で入市被ばくしているという自身のルーツを見つめ直し、「平和」という曖昧なイメージを表現者としてどう
伝えることができるのか経験を積む機会でもあると感じ、今回ユース特使として応募、乗船することになりました。

ご一緒している長崎出身の被爆者、木村徳子さんと過ごすこの時間と、隣に彼女がいるということがどれほど貴重で、大切な時間なのだろうかということを日々噛みしめています。
被爆者の木村徳子さんと、船内も含め様々な場所で核廃絶に向けて活動していきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

おりづるユース 浦田沙緒音

 

 

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