11月5日、新品種のバラ「ICAN」が咲いている広島バラ園(廿日市市)を、ピースボートの川崎哲とともに訪ねました。バラ園では、田頭数蔵(たがしらかずぞう)さん、長男の田頭恵さんが待っていてくださいました。
バラ「ICAN」は、2017年のICANノーベル平和賞受賞を知った田頭さんが、「世界の若者たちが集まり、被爆者と同じ思いで核兵器をなくそうしている」ことに喜んで作られたものです。一枚一枚の花弁が寄り集まって生まれる美しい姿と香りが、平和を愛する気持ちを表しているように思えます。
前回バラ園を訪ねたのは2019年春。あれから1年半、寄付をいただいたバラICANは東京・多摩市のグリーンライブセンター、恵泉女学園を中心として、様々な場所で育てられています。
これまでのバラの経緯はこちら:
ピースボートのページ https://peaceboat.org/33354.html
おりづるブログ https://hibakushaglobal.net/2020/05/26/ican-rose
罹災証明ご提供へのお礼
田頭さんは被爆75年を迎えたこの夏、これまでご自宅の金庫で大切に保管されていた罹災証明を、今後の平和教育に役立ててほしい、とICANに預けられました。原爆投下2日後に発効されたその証明書は、長い年月を経て変色しているものの、田頭さんのお名前と住所がしっかり書かれています。16歳だった田頭さんが、混乱の中でそれを握りしめて歩く姿が目に浮かんできます。秘めていた心のうちを話されたいま、世界の若者に継いでほしいというお気持ちになったのだと理解しています。
バラ「ICAN」と「罹災証明」という2つの贈り物に、ICANのベアトリス・フィン事務局長から書簡が届きました。私たちはそれを訳し、田頭さんにお渡ししました。ベアトリスは書簡の中で、感謝の気持ちとともに、このようにつづっています:
「核兵器禁止条約は、批准50カ国に達しました。2021年1月22日から、このおぞましい兵器が、国際法によって、永久に禁止されます。この功績は、長年にわたる被爆者の方々の勇気ある行動と取り組みなしには達成できなかったものです。私たちは、最後の核兵器がこの地球から消えてなくあるまで、その声、お話、残されたものを活かし続けることを約束します」
秋のバラ園は、鮮やかな花の色と馥郁な香りで、心安らぐ空間でした。
「青いリボンのついたICANは、福山のばら公園に送られるんだよ」と田頭さん。バラの美しさに触れながら、たくさんの方々と一緒に、「核なき世界」を創造していけたらいいな、と思いました。
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11月16日中国新聞 ICANに罹災証明寄贈 被爆者でバラ育種家 田頭さん
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=102046
通信販売
みなさんも育てられます(広島バラ園):
https://item.rakuten.co.jp/auc-hiroshimabaraen/ican/https://item.rakuten.co.jp/auc-hiroshimabaraen/pot_ican/
ピースボート 松村真澄