7.おりづるプロジェクト・オンライン

創価大学の留学生会と国連クラブと考える「核なき世界」

世界190カ国で被爆証言会を行う、ピースボートの「おりづるプロジェクト・オンライン」の第一回目の証言会が開催されました。2020年10月23日、ジャマイカとナウルが核兵器禁止条約に批准したその日に、インド、韓国、イギリス、アメリカ、イタリア、ブラジル、マレーシア、シンガポール、フィリピン、フランス、香港、タイ出身の100名を超える学生と共に行われました。

創価大学の留学生会と国連クラブが、ピースボートとの共催で「核兵器のない世界に向けて」という会を開催しました。核兵器廃絶への知識を広めるという目的で開かれたこのオンライン会議には、130名以上の人が参加し、たくさんの反応が寄せられました。まず初めにピースボートでこのおりづるプロジェクト・オンラインを担当している渡辺里香より、プロジェクトの意義が話され、記念すべき第一回目の開催に感謝を述べました。

 

英語で語り掛ける田中稔子さん

この会は創価大学の留学生会と国連クラブのメンバーが核兵器のこと、また昨今話題となっている核兵器禁止条約の意義や現状などについてディスカッションやワークショップを通して学ぶ会でした。その一連の学びの中で、広島で被爆された田中稔子さんの被爆証言を聞いてもらうというものでした。田中さんはご自身の経験をまとめ、それを英語で話せるように練習を重ねてきました。ですから、今回は英語で学生たちに語り掛けました。

「1945年8月6日登校途中の爆心地から2.3キロ地点で被爆しました。原爆が落ちた瞬間、とっさに右腕で顔を覆ったので、頭部と右腕、左側の首に火傷を負いました。その晩から高熱にうなされ、意識を失いました。しかし奇跡的に命を取り留めました。」と。
その後、長年にわたり証言をしていらした田中さんは、この7年の間に、アメリカに10回渡りニューヨークの「ヒバクシャ・ストーリーズ」というプロジェクトで学生たちに証言を届けてきました。現在では、被爆者が生きているうちに核兵器禁止条約が国際法として発効するよう尽力されています。(奇しくも、この会は核兵器禁止条約の発効が決まる2日前のことでした。)

証言を聞いた後、参加した生徒からは様々な意見がでました。

日本出身の森山せいこさん(24):「こんなにたくさんの留学生が参加して、核兵器廃絶に関して学んだということに励まされました。今日の参加者である私たちのような市民の力と連帯感なしに核兵器の廃絶は成しえないと強く思っています。『核兵器なんてなくせないよ、現実的じゃないよ』と言って、なくすための行動に出ない人もいます。でも、今日の参加者は家族、友だち、ご近所さんを巻き込んでいくことができるのです。そうすることで、より多くの人が核兵器廃絶に向けて行動を共にしていくことができるのだと思います。今日伺った被爆証言は悲しいものでした。でも、もっと学んでアクションにつなげようと思わせてくれました。今回田中さんが話してくださったような被爆証言は、もっともっと多くの世界の人に聞いてもらうべきです。このプロジェクトが日本だけでなく、世界のたくさんのところで開かれ、核兵器をなくすことの大切さについて学び、議論する人が増えたらよいなと思いました。」

インド出身のニティン・カントさん(30):「田中さんの経験を聞いて、原爆によるご自身の、そしてその他多くの被爆者の苦しみを感じました。この気持ちをずっと忘れないと思います。」

ブラジル出身のムリロ・フィゲレドさん(23):「田中さんのお話の間、涙が止まりませんでした。証言のすべてに考えさせられました。」

インド出身のスワプナリ・ダスさん(46):「私たちがどこにいようとも、できることが限られていようとも、一人ひとりに力を与えてくれる会でした。田中さんの証言は、世界(の被爆者)がまだキノコ雲(の影響)に苦しんでいることを思い出させてくれました。世界の人々と祈りを合わせていかなければ。」

イタリア出身のキアラ・ポルヴェリニさん(25):「まず田中さんが自ら英語を学んでより幅広い層の若者に自分の経験を話してくださったこと。次に田中さんが人々の意識を高めるために続けている努力に感動しました。今日証言を聞いて、教科書や授業ではあまり多くを学んでこなかったことを申し訳なく感じました。あの場を生き抜いた人たちの経験、痛み、悲しみに注目してきませんでした。でも今日証言を聞けて良かったです。田中さんたち被爆者の思いを私も世界に伝え続けていこうと決めました。」


最後に、

田中さんはこのように会を締めくくりました。「いつか核のない世界が訪れるでしょう。(私が被爆当日に見上げて、希望を感じたように)青くて美しい空が未来の世代の頭上には輝き続けるでしょう」そして世界中に友人を作ることで思いや行動を共にすることを若者に呼びかけました。

報告:アンキタ・セガル

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