2024年ノーベル平和賞が、ピースボートの長年のパートナー団体である日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に贈られたことを祝福します。核兵器使用の脅威がかつてないほど高まっている今、被団協が極めて重要な賞を受賞されたことを大変喜ばしく思います。
日本被団協は広島・長崎の原爆被爆者のための全国組織であり、私たちピースボートおりづるプロジェクトは長年にわたって非常に緊密な協力関係を築いてきました。今回の受賞を心から嬉しく思います。
川崎哲からのメッセージ:
この受賞を受けて、ピースボート共同代表/核兵器廃絶国際キャンペーン国際運営委員の川崎哲が以下のようなコメントを出しました。https://kawasakiakira.net/2024/10/11/nihonhidankyo2024/
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日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたって
日本被団協のノーベル平和賞受賞の報を聞き、心から喜んでいます。本当に嬉しいです。これまで、つらい記憶を思い出しながら、きつい体に鞭打ちながら、被爆の実相を語ってきてくださった一人一人のお顔が思い浮かびます。すでに亡くなられた方も数多くいます。そうしたお一人お一人のことを今、考えています。
今こそ世界は、被爆者の声に耳を傾けなければなりません。
ノルウェーノーベル委員会は、世界でまた核兵器が使われるかもしれないという危機的状況である今だからこそ、日本被団協に平和賞を授賞してくださったのだと思います。ヒロシマ・ナガサキを、世界のどこにおいても、決して繰り返してはなりません。
そしてまた、日本においても、戦争体験や被爆体験が風化している現実があります。政治家たちが、核抑止力の強化や、核共有までも口にしている状況です。日本被団協の平和賞受賞は、私たちが改めて、日本が唯一の戦争被爆国であリ、核兵器廃絶に向けて世界を主導する役割を担わなければならないということを思い起こす好機です。
日本は、核兵器禁止条約に署名・批准すべきです。日本政府は、日本被団協に祝辞を贈るのであれば、その中で、日本が核兵器条約への署名・批准を目指すことを明言すべきです。
私は、日本被団協の多くの被爆者の方々から、日本が手にした平和憲法、特に憲法9条がいかに大切であるかを教わってきました。私たちは今こそ、日本の戦後平和主義の原点に立ち返り、武力によらずに諸国民の信頼と国際協調によって平和を作るという原則を高く掲げるべきだと思います。
2024年10月11日 川崎哲
ピースボート共同代表
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員
核兵器をなくす日本キャンペーン専務理事
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)からのメッセージ
2017年のノーベル平和賞受賞団体である核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、今年のノーベル平和賞が日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に贈られたことを祝福します。核兵器使用の脅威がかつてないほど高まっているこの重要な時期に、被団協がこのような形でふさわしい、極めて重要な賞を受賞されたことを大変喜ばしく思います。
アメリカによる広島と長崎への原爆投下を生き延びた被爆者は、核兵器の壊滅的な影響について広め、核兵器の全面的な廃絶を実現するためにたゆまぬ努力を続けてきました。
ICANは、日本被団協や被爆者の方々とともに、核兵器の禁止と全面廃絶のために活動を共にしてきたことを光栄に思います。被爆者の方々の証言とたゆまぬ運動は、核軍縮全般はもとより、とりわけ国連核兵器禁止条約(TPNW)の採択と発効を前進させる上でなくてはならないものでした。
今回、核兵器が使用される危険性がかつてないほど高まる中で被団協にノーベル平和賞が贈られました。ノーベル平和賞の選考委員会が被団協をこのように評価したことを受けて、世界の人々は、核兵器が人類にもたらすこれ以上ない危険性について、改めて認識すべきです。
来年は、広島と長崎に大惨事をもたらした原爆投下から80周年となります。被爆者の声と今すぐの行動への呼びかけに耳を傾け、行動を起こすことは、これまで以上に重要となります。すべての国々は、核兵器禁止条約への加盟を求める被爆者の声に直ちに耳を傾けるべきです。
(https://www.icanw.org/ican_congratulates_nihon_hidankyo_for_2024_nobel_peace_prize の日本語訳です。)
文:渡辺里香