7.おりづるプロジェクト・オンライン

非核地位を確立しているモンゴルに、核兵器禁止条約への尽力をお願い

ピースボートの「おりづるプロジェクト・オンライン」の9回目の証言会には、モンゴルの大学生30名と共に開催されました。受け入れてくださったのは、モンゴル国立大学のオユンスレンさん。今回証言いただいた東野真理子さんは、両親が被爆された、「被爆2世」です。母・智佐子さんと祖母・りょうさんから聞いた話と、その後についてお話しいただきました。

「核兵器」と「一般的な爆弾」の違い

冒頭、東野さんは「原子爆弾と普通の爆弾の違いは何だと思いますか?」と学生さんに問いかけました。

放射線の体への悪影響は何十年経っても消えないこと、あの時受けた傷痕も心の傷も75年経った今も消えない現実、、、。これらのことを、原爆の「放射能」による影響について、母・智佐子さんと祖母から聞いた話をその時の情景を思い浮かべながら話しました。

祖母リョウさんを語る東野さん

核兵器が奪うのは今と未来

会の終了後、遺伝的な影響を初めて知って驚いたという学生から「放射能の影響と思われる、身体やメンタル面の健康的な被害はありますか?」と質問がありました。それに対して、4歳上の兄が3度がんを患い、小さいころは髪の毛が生えてこなかったこと、そして真理子さん本人も甲状腺の異常を指摘されたことを話しました。

核兵器は「その時、そこ」で被害にあった人だけでなく、その次世代をも犠牲にしてしまいます。実際に、被爆二世への遺伝的な影響は証明されていませんが、東野さんは常に不安があるそうです。また、自身が結婚をする際に「被爆2世」ということを打ち明け、それでもいいかと尋ねたという話もされました。このように何代にもわたり、放射能による恐怖は引き継がれてしまうのです。

モンゴル大学の学生さんからの声

今回、証言の中でメインの人物は母・智佐子さんと祖母・りょうさんと真理子さんの三世代3名。その3名それぞれから見た「原爆投下とその後」の話を聞いて、モンゴルの学生たちは胸に響くなにかがあったようです。
ある学生は、モンゴルの状況を踏まえたうえで、「東北アジアは核兵器がありまだ不安定な状態なので、私たちがつながり、一緒に何かできるということはうれしい。」と。他の学生さんは「今日このタイミングで聞けたことをよい機会として、何ができるのかを考えていきたい」と話してくれました。

 

また、「どのようにしてこのプロジェクトに関わることができますか」という質問も数人からありました。このように私たちが継承をサポートし、それぞれができることをするということも、一人でも多くの人に現実を伝えるために重要なことだと思います。

これから育んでいく”平和の種”、きれいな花を咲かせてください

東野真理子さんは学生たちに「世界平和はどこか遠くにあるのではなく、どんな立場であれ私たち一人ひとりの心が作っていくもので、心こそ大切だと思います。」と語りました。そしてご自身が4年前にオランダ議会で証言したことで、オランダ政府が核兵器禁止条約の交渉の場に着く決定につながったことを話しました。そして最後に、「モンゴルは非核地位(Nuclearweapon-Free Status) を確立している素晴しい国ですから、核兵器禁止条約への批准に尽力してくださることを願っています。」と話しました。

初めてのオンラインセッションは、学生にとって有意義だったと話すオユンスレンさん

そして最後にこう締めくくりました。「今日、私は話を聞いてくださった皆様の心に“平和の種”を植えさせていただきました。この種を大切に育てて、大きく綺麗な平和の花を咲かせてください。これから、平和な世界を創るために、自分はどうすればいいのか。何をすればいいのかを考えてみてくだされば嬉しいです。核兵器禁止条約への批准に尽力してくださることを願っています。」

 

文・徳永涼子

編集・渡辺里香

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