創価大学とマラヤ大学の学生がピースボートと共催で、7月18日に「Together Create Peace(共に平和な世界を)」と題したオンライン証言会を開催しました。創価大学とマラヤ大学の学生を主に、約30名の人が参加しました。今回は、おりづるプロジェクトの58回目のオンライン証言会でもあり、創価大学の学生を含む日本人メンバーと、マラヤ大学で東アジアの安全保障や平和について学ぶ「平和グループ」の学生が企画したものです。
証言会は二部構成になっており、第一部で証言、第二部ではマラヤ大学と創価大学の学生によるプレゼンテーションとグループディスカッションが行われました。
第一部では、被爆二世として証言活動をされている東野真里子さんに証言をしていただきました。東野さんのお母様は17歳の時に爆心地から3km地点で、おばあさまが爆心地から1.8km地点で被爆しました。東野さんは被爆二世として、被爆者の高齢化が進む中で、二度と同じ過ちを起させないとの想いから、世界中で被爆証言を続けられています。
東野さんはスライドを用いながら、お母様の被爆証言とおばあさまの被爆証言、そして東野さんご自身の被爆体験伝承者としての平和への想いを話してくださいました。
東野さんのお母様、智佐子さんは被爆から6日目に東野さんのおばあさまを見つけたとき、おばあさまの右目は取れ、体にはハエやウジ虫がたかっていたこと、終戦後に授かった智佐子さんのお子さんは生まれて18日で原爆病で亡くなったこと、その後生まれたお子さんが東野さんであること。参加者は実際に起こってしまったとは信じ難いほど想像を絶する話に、真剣に耳を傾けていました。
智佐子さんは亡くなるまで世界中で被爆証言者として平和を訴え抜き、その意志を継いだ東野さんもピースボート主催の「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加し、被爆証言を通し核廃絶を訴えられてきました。その中で、オランダを訪問し、国会議員に核兵器禁止条約への尽力を訴えた結果、オランダが核兵器禁止条約の条約文作成に参加し“ヒバクシャ”の文言を入れる様に尽力したというお話しがありました。ひとりの思いや行動、言葉が、人の心を動かし、政治を動かすことができるのだと参加者の心に深く刻まれました。
証言後に学生からの質問で、核廃絶に関心がないあるいはあきらめの考えを持っている人にどう語り掛ければ良いかという質問がありました。東野さんは、ひとり一人の心に核兵器の非人道性、恐ろしさを伝えることの大切さを語られました。また世界の指導者が広島を訪れその悲惨さを知ることと同時に、市民レベルで平和への想いを共有することが大切であること、そして今日の証言を聞いて心に残ったことを周りの人に今日伝えてくださいと話されました。
証言の最後にも東野さんから、今日の証言を通して東野さんが植えた平和の種を大切に育てて、平和の花を咲かせてくださいとのメッセージがあり、学生や参加者に深く響きひとり一人が平和への想いをより強くしていました。
第一部の最後には皆で平和への願いを込めて折り鶴を作成しました。
第二部では、マラヤ大学と創価大学の学生によるプレゼンテーションが行われました。あなたにとって平和とはという質問から始まり、核兵器が使われる危険性や、核不拡散条約(NPT)や核兵器禁止条約(TPNW)と日本政府の姿勢に関して、最後に市民社会の力がこれまで核軍縮を進めてきたことそして核廃絶に向けて社会の力が不可欠であることが伝えられました。その後グループに分かれ、証言会を通して感じたことや自分たちができることを話しました。
参加したマレーシアの学生からは、「証言を聞いて世界中で、平和と核廃絶への問題意識を広める重要性をより感じました。東野さんが平和のために日本国外にもこのような活動をされていることにとても感銘を受けました。」との声がありました。
また日本人の学生からは、「改めて戦争、核兵器は自分に関係がある、自分も平和、核廃絶に向けて行動を起こす意味があると感じることができました。グループディスカッションで東野さんとお話する機会をいただき、平和は日常な小さなことから始まるということを改めて感じることができました。」との感想がありました。
文:渡邊理恵
編集:渡辺里香