前回に引き続き船内企画のレポートをお送りします!
今回は前回紹介した企画の振り分けのうち
3.被爆者と一般参加者の交流を深める
4.原発を含めた世界の核問題への理解を深める
に分類される企画を紹介します。
3.被爆者と一般参加者の交流を深める、は日常の様々な場面で行われていますが、企画として分類するならばしゃべり場や質問会のような小グループに分かれて議論ができる場です。
被爆者と交流する場で船内で行ったのは「おりづるカフェ」。
おりづる被爆者たちとただお茶をしてゆるーくおしゃべりをするというものです。
後半は寄港地の交流相手にプレゼントする千羽鶴を折りながらなど頻繁に行われ、企画していなくても自然に人が集まるような空間でもありました。
地球のことを考える日アースデーではプールデッキで企画しました
小グループでの質問会では水先案内人の郭貴勲さんと話す「郭さんと話そう!」やおりづる被爆者にあれこれ質問する「おりづると話そう」などがありました。
「郭さんと話そう」でざっくばらんに質問をする参加者たち
この日はチェルノブイリ報告会の翌日で、チェルノブイリに関する質問が多くでました
そして最後にしておりづるプロジェクトならではの非常に重要な企画が4.原発を含めた世界の核問題への理解を深める企画です!
原爆の真相を知るだけでなく、今現在私たちが抱えている核兵器や原子力発電所、核実験、核廃棄物など様々な核問題について学ばなければ「核のない世界」へは動き出せません!
出航すぐから水先案内人の郭貴勲さんやタヒチから乗船されていたガブリエル・ティティアラヒさんなどからグローバルヒバクシャという視点を学びました。
また、ペルーからジャマイカまで乗船されていたアメリカの核軍縮教育家であるキャスリン・サリバンさんからは世界の核問題や私たち自身の「核との出会い」について想いを共有するようなワークショップを実施してもらいました。
船内でワークショップを行う水先案内人のキャスリン・サリバンさん(写真右)
さらに、おりづるパートナーが主体となって世界の核問題について自分たちで考えていく「おりづるゼミ」という勉強会を何度も企画しました。
「核兵器はなくした方がいい、でも実際になくせるのか」という核抑止論や安全保障についてワークショップを通して真剣に議論する被爆者とおりづるパートナー
プロジェクト展示にて、ゼミで学んだ核のサイクルなどについて説明するおりパ
また、世界で広島・長崎の被爆について話すときに意識しなければならないのが第二次世界大戦中のアジア侵略のことです。熱心なおりづるパートナーであるハン・スンヒさんを中心に色んな角度からの勉強会が開かれました。
また、欧米から見た原爆投下という視点も学びました。
カナダの大学で原爆投下について研究していたGETの英語の先生カイル・ハリスさんには講座「カイル先生のアメリカによる原爆投下」を企画してもらいました。
第5回目となる今回のプロジェクトでやはり焦点が当てられていたのは「脱原発」。前回のプロジェクト航海中に福島第一原子力発電所の事故が起き、被爆証言をするために世界を周っていた被爆者たちは「なぜそのような原爆を経験した日本がこのようなことになっているのか」と厳しい質問を浴びせられました。そんな中で今回事故後初めてのプロジェクトであり、また航海中に一周忌を迎えるクルーズということで脱原発や原発に対する知識を深めることは非常に重要な位置を占めていました。そのため船内でも様々な原発に関連する企画も行いました。
企画「原発はいらない」にて、1月に横浜で開催された脱原発世界会議などに触れながら国際的な視点から原発について述べるキャスリン・サリバンさん
他にも、福島出身のおりづるパートナー小沼利正さんと企画した「原発について簡単に知りたいあなたへ」、3月11日一周忌に合わせて企画した若者の原発しゃべり場「ジャックブロードウェー」などの企画がありました。
若者が若者のために企画し作り上げた原発しゃべり場「ジャックブロードウェー」にて、原発への思いを俳句にして発表する若者たち。パネラーの一人である岩崎友嗣さん(写真右から3番目)は「問題は そんなあなたの 無関心」と発表し、私たち一人一人が考えていかなければならない問題だと訴えた
経済や安全保障の話になると色んな意見に分かれてしまう核廃絶ですが、結局は核を持つということは「平和」にはつながらないということをみんなと一緒に勉強していく中
で強く感じました。
たくさんの人の関わりの中でつくりあげた船内企画。75回クルーズのこのメンバーでしかできなかった企画が本当にたくさんありました。そしてこのクルーズだから学べたことがたくさんありました。
年齢や思想などそれぞれのバックグランドを超えて話し合うことで新たな学びが生まれた
帰国してそろそろ一カ月がたちます。
私たちひとりひとりが船での経験をどのように世界に還元していくか。
船内企画の続きが一番大切な部分なのだと思います。
(サポートスタッフ 坂口理香)
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頑張ってますね