7.おりづるプロジェクト・オンライン

歴史や現在を多角的な視点で理解したい~創価大学と福岡教育大学~

12月12日、福岡教育大学と創価大学との共催で、第6回目のオンライン証言会が行われました。日本人学生、そしてブラジル、スウェーデン、アメリカ、台湾、インド、カンボジアからの留学生も含め、総勢55名の参加者が集まり、核兵器廃絶について考えるとても有意義な時間となりました。

核なき世界をめざしてー 私たちに出来ることはなにか。

まずは創価大学国連研究会の皆さんより「核なき世界」というタイトルのもと、核兵器廃絶についてのプレゼンテーション。核抑止論をめぐる世界の動きを見たあと、小グループに分かれて意見交換を行いました。「なぜ人間は核兵器を保持し続けるのか」、そして「核兵器廃絶の重要性についての認識を広げるために、あなたが出来ることはなにか」という問いに対しディスカッションをしました。3人ほどの少人数グループでしたが、参加者ひとり一人の真剣な思いや疑問、お互いの意見が飛び交い、短い時間では話し足りないほど活発なトークが繰り広げられました。

プレゼンテーションの最後に、このプロジェクトに関わるメンバーから参加者に向けて伝えたいこととして、次のようなメッセージで締めくくられました。「尊い生命を奪い、人々を苦しめ続ける非人道的核兵器の存在は、いかなる理由があっても許されないということ。また、身の回りに存在する差別やヘイトなどを自分のこととして捉えること。そして、歴史や現在の状況を多角的な視点で客観的に理解し、平和のために考え行動し続けてほしい。」

 “武力から平和は決して生まれない“ - 上田紘治さんによる被爆証言

そして、後半は被爆者・上田紘治さんより被爆体験をお話しいただきました。
東京被爆者団体元事務局長の上田さんは、2003年ワシントンDC、2005年NPT(核不拡散条約)会議に参加し、2010年のNPT会議では米国市民へ被爆の実相を伝えました。また、国内でも子どもから大人、留学生まで、たくさんの人々に向けて証言活動を続けています。

上田さんは、3歳6か月の時に爆心地から400mにあった自宅の被害状況を確認するために母と入市し、被爆しました。
『人々が一日の日常生活を送ろうとしていたその時、突然、罪なき人々に襲いかかった原爆。原子雲の下でさまよった人々のことを想像してください。― 』
そんな言葉からはじまった上田さんの被爆体験のお話は、決してどこか遠い出来事ではないこと、その日も人々は今の私たちと同じように当たり前の日常を生きていたこと、そんな日常を、原爆は一瞬にして奪ってしまったことを、戦争を知らない私たちに身をもって感じさてくれました。

全身焼きただれた人々の風景を目の当たりにしたこと。
家の下敷きになった叔父を見捨て生き延びたことで、生涯自分を責め続けた友人。
被爆による偏見や差別、結婚への障壁。
子どもや孫が誕生するたびに不安を抱いてしまうこと・・・
思い出すだけでも胸が苦しくなるであろう当時の見たこと感じたことを、穏やかな表情と口調で語る上田さんは、次のように話します。
『このような私たちの体験は、世界のどこにも二度と繰り返してはいけません。口で言い表すことが出来ないこの世の地獄を体験した被爆者ですが、報復をさけんだことは一度もありません。』
それは、“武力からは平和は決して生まれない”ということを共通の認識にしたい、という上田さんの強い想いがあってこその言葉でした。
『2017年7月7日、国連で核兵器禁止条約が122ヵ国の大多数で採択されました。私は深夜にその事実を知り、亡くなった多くの先輩被爆者・指導を受けた指導者の顔が次から次と浮かび1人涙しました。被爆者にとって夢のようでしたが、今、また、喜び倍増です。』そう語りながら涙を流す上田さんの想いに共感し、涙ぐむ参加者も多くいました。

国を超えて生まれる平和の心

上田さんのお話のあと、ある学生より『私たち参加者に望むことは何ですか?』との質問が寄せられ、それに対し上田さんは次のように答えました。
『被爆の実相を知り、周りの人に広めてもらうことが平和につながる一番の近道です。』
「ノーモアヒロシマ・ノーモアナガサキ・ノーモアヒバクシャ」を世界の財産にしたい、次の世代に同じ体験をさせたくないという上田さんの想い。私たちは上田さんのこの想いをしっかりと受け継ぎ、これからもより多くの人に被爆の実相を広めていくために自分に出来ることをかたちにしていこうと、気持ちを一つにしました。
最後に、上田さんの印象に残っているアメリカでの経験をお話しいただきました。
『アメリカに行くと必ずパールハーバーの話がでますが、その事実に対しては被爆者として謝罪します。しかし一方で原爆の経験を話させてもらうと、そのあと必ずみんな私の元へ来てハグをしてくれる。ここに人間の素晴らしさがあると感じた。』
武力からは、そして憎しみからは、平和の心は生まれない。そのことを私たちに確信させてくれるエピソードだと感じました。

「大学生が頑張っている姿を見て刺激を受けました。頼もしいね。上田さんも本当に嬉しかったと思う。」証言会の後、そう感想を残してくださったのは、今回通訳を務めてくださった小泉紀子さん。
今回の証言会の前日、12月11日には西アフリカにあるベナンが核兵器禁止条約を批准し、条約批准国は計51カ国になりました。12月に入ってからジンバブエ、ニジェールが同条約に署名しており、核兵器廃絶に向けた世界のこうした大きな動きは、核兵器廃絶を願うすべての人々を励まし、さらに大きなアクションへとつながる原動力となっているのではないでしょうか。被爆者の声を世界中に広めたいという私たちの想いはさらに大きく、そしてまた決意を新たにしました。

最後にみんなで作った折り鶴と

文:高尾 桃子(オンライン証言会運営ボランティア)
編集:渡辺里香

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