7.おりづるプロジェクト・オンライン

核兵器禁止条約に批准したことはマレーシア市民の誇り

インドから多くの参加者が集った、第2回目のピースボートオンライン証言会に続き、マレーシアのマラヤ大学の約60名の学生と共に、ピースボート「おりづるプロジェクト・オンライン」第3回目が開催されました。マラヤ大学の東アジア研究科長、ナセルディン(Nasiruddin)教授が、歓迎の挨拶を行い、マレーシアは2020年9月30日に46番目の国として核兵器禁止条約に批准したことはマレーシア市民の誇りだと述べました。

マラヤ大学の東アジア研究科長、ナセルディン(Nasiruddin)教授

路面電車に乗っていた時に被爆した三宅さん

広島県出身の三宅信雄さんは学生に被爆の体験を語りました。三宅さんは爆心地へ向かう路面電車の中で被爆しました(爆心地から1.8km地点)。電車内では多くの死傷者がでましたが、三宅さんは咄嗟の判断で電車を飛び降り、被害を免れました。1980年代後半より、日本国内にとどまらず、アメリカ、オランダ、カナダ、イスラエル、サウジアラビアなどの国外において証言活動を行っています。さらに、在韓被爆者との交流会にも積極的に参加しています。2007年から2009年には東京都原爆被害者団体協議会(東友会)の事務局長を務めました。
2015年にはピースボート「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加し、7人の被爆者と3人のユース非核特使の若者と共に、19か国25都市を訪れました。イギリスの映像作家のエマ・バゴット(Emma Baggot)さんは上記の船旅で三宅さんをはじめとする被爆者たちの活動をドキュメンタリー映像として作成し、核兵器の恐ろしさとその禁止と廃絶を訴えました。
I WAS HER AGE https://vimeo.com/137809836

三宅さんはこのような路面電車の中で被爆しました

 

参加者からもたくさんのコメントや意見が

モハメド・アフィク・ビン・アズミ(Mohamad Afiq Bin Azmi)さん
「私は他の国の人々にも、日本が経験してきた苦痛を知ってほしいと思います。また核兵器の危険性についての認識を広げていきたいと思います。」

ヌル・ナジハ・ズルカルナイン(Nur Najihah Binti Zulkarnain)さん
「オンライン証言会では、今まで知らなかった世界を知ることができました。核兵器の危険性は知っていましたが、原爆が三宅さん、そして多くの被爆者に与えた苦痛を知り、心が痛みました。核兵器は敵国を脅すために作られているのかもしれませんが、人間を長い世代に渡って苦しめ続け、地球をも破壊するそれは決して用いられてはなりません。核兵器が私たちを破壊する前に、私たちが核兵器を廃絶しなければなりません。誰も世界の指導者が行う科学実験の対象となるべきではありません。

アニッサ・ビンティ・アドゥブル・カディール(Anissa Binti Abdul Kadir)さん
「この証言会は核兵器が今もなお、世界で影響し続けているということを気づかせてくれました。残念なことに、被爆者が核兵器廃絶が実現された世界を見ることは難しいかもしれません。しかし私は、新しい世代とともにいつか必ず実現できると信じています。そして私たちが今できるのは、核兵器廃絶の運動を広げ、そのために声を上げることです。

アニス・ナビハ・ビンティ・ザイニ(Anis Nabihah Binti Ahmad Zaini) さん
「本日の証言会は私の人生に大きな影響を与えました。何度も涙しました。この証言会の意義を理解すると同時に、私自身も将来、社会を変える一人になりたいと思いました。また、私は核なき世界を望みます。それは核兵器の脅威を恐れることのない世界です。私は世界に「被爆者第二号」を生んでほしくありません。私は誰にも三宅さんや被爆者の方のような苦しみを経験してほしくありません。誰も原爆の苦しみを経験することのない、被爆者の方が安心できる平和な社会になってほしいです。より良い社会、そして核なき世界を祈っています。

証言会では折り鶴を折りました。イギリス出身のエステール・ギャレット(Esther Garett)さんは「禎子の千羽鶴」の話を共有し、参加者と一緒に折り鶴を折りました。

かなり多くの学生が折り鶴を完成させていました

証言会の最後に三宅さんから

「私たち被爆者は、最後の放射能の犠牲者になることを願っていました。しかし、福島県での事故で深く失望しました。また、世界中の人々が放射能の後遺症で苦しんでいます。日本人の一人として、心よりお見舞い申し上げます。核兵器は戦時中、人間を殺すために作られました。一方で、原子力は電気を生み出すために使われています。しかし、その莫大なエネルギーを生み出す核分裂の原理は同じなのです。」

文:アンキタ・セガル
翻訳:森山星子
編集:渡辺里香

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