7.おりづるプロジェクト・オンライン

被爆経験を起点に「核なき世界の構築」を考える

2021年10月21日、46回目のオンライン証言は、平和首長会議のヨーロッパ支部、イギリス・アイルランドの非核宣言自治体協議会とICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が共催したイベントにて行われました。このイベント「核なき世界の構築~核兵器禁止条約・締約国会議と都市・主要機関・市民社会の役割から~」には、20カ国から170名以上が参加し、長崎で被爆された和田征子さんが証言を行いました。

多くの自治体、市民社会、核兵器禁止条約の支持国の果たすべき役割

イベントは松井一實・広島市長の開会メッセージから始まり、沢山の視点から核兵器禁止条約や核廃絶に対しての意見が並びました。

開会の挨拶をする、松井一實・広島市長

シルビオ・トマジ枢機卿は、核兵器に巨額を費やすことの不道徳性に焦点を当てました。また、保健医療や経済・社会開発のための資金不足を考慮し、核兵器に巨額を費やすことの不道徳性を指摘しました。

シルビオ・トマジ枢機卿

アイルランド外務省軍縮担当ディレクターは、核兵器禁止条約とNPT(核不拡散条約)の間には強いつながりがあり、核兵器を禁止する規範がなければ、核兵器はなくせないと強調しました。

核兵器禁止条約の第1回締約国会議議長のアレクサンダー・クメント大使は基調講演で、核兵器廃絶のためには核軍縮が必要であることを強調した上で、軍縮条約体系における核兵器禁止条約の重要な位置づけを説明し、第1回締約国会議での討議事項を説明しました。また、同条約に批判的な国々に対して、真の対話に入り、オブザーバーとして会議に参加するよう呼びかけました。

アレクサンダー・クメント大使

赤十字国際委員会のヘレン・ダーラムさんは、1945年の原爆犠牲者への支援から今日の核兵器禁止条約の推進に至るまで、国際赤十字委員会の関与の概要を説明しました。

赤十字国際委員会のヘレン・ダーラムさん

長崎の被爆者である和田征子さんは、1945年に被爆した母親と自身の話をしました。生き残ったものの、その人生は放射線の影響によって傷つけられたと語りました。彼女自身の人生にも、やはり影響があったのです。世界は被爆者の声に耳を傾けるべきであると、鮮明な証言をしました。

力強く、英語で証言する和田征子さん

オスロ市長のマリアンヌ・ボルゲンさんは、都市や地域社会がノルウェーの新政権に与えた影響について、次のように述べました。
「ノルウェー新政権は、NATO加盟国として初めて第1回締約国会議へのオブザーバー参加を表明しました。これは確かに十分ではありませんが、正しい方向への第一歩を踏み出したと言えるでしょう。」と。

グラスゴー市議会議員のフィアゲル・ダルトンさんは、英国の潜水艦で核兵器担当将校として勤務した経験が、核兵器に反対する活動を始めるきっかけになったと語りました。グラスゴーは、英国の原子力潜水艦の2つの基地に非常に近いところにあります。グラスゴーは、英国の原子力潜水艦の2つの基地に非常に近く、そこで事故や爆撃があれば、大きな影響を受けるであろうことを説明しました。そして、グラスゴー市議会では、1つの政党を除いて、すべての政党が彼の核兵器反対決議案に賛成したことを報告しました。

英国の潜水艦で核兵器担当将校だった、グラスゴー市議会議員フィアゲル・ダルトンさん

ハノーバー市のトーマス・ヘルマン第一副市長は、ハノーバー市の核軍縮に関する様々な活動、特に平和市長会議における活動について報告しました。

ICANのベアトリス・フィン事務局長は、平和市長会議や他の組織、外交官や国際機関の代表者、市民社会との良好な協力関係の重要性を強調しました。市民社会との良好な協力関係なくして、TPNWの設立はあり得なかったとも述べました。

ICANベアトリス・フィン事務局長

平和市長会議ヨーロッパ支部長のジョセップ・マイヨラル・グラノラーズ市長は、閉会の辞の中で、都市や地域社会がさらなる活動を展開し、核兵器禁止条約の第1回締約国会議への出席を自国政府に要請するように呼びかけました。

このイベントに参加して

多数の関係者が集い、それぞれの視点からの課題や期待を共有したことで来年の締約国会議への熱意と具体的な道筋が見えた大きな成果をもたらしたと思います。
そのような機会に、長崎で実際に被爆をした和田さんが直接経験したことと思いを話したことにも、大きな意義がありました。

核兵器のない世界を思い描き、実現に向けて進んでいくには、人間や環境にどのような影響があるのか、それがいかに人類と共存可能なものであるのかという視点から議論をはじめることの大切さを再確認しました。

当日の様子は、こちらから視聴できます。(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=4Gvv5mg2pP8

文:渡辺里香

関連記事

  1. 人災を経て繋がる ~広島とレバノン~
  2. 未だ150の核弾頭を保有するインドの人にも知って欲しい
  3. 日米の学生に向けて「放射能が原因で苦しむのは私たちで充分」
  4. ノルウェーが核兵器禁止条約にオブザーバー参加することが嬉しい
  5. インド出身のアンキタさん「核兵器をなくすためには、被爆者の声に真…
  6. 「おりづるプロジェクト・オンライン」のまとめ動画が英語とロシア語…
  7. 核兵器禁止条約に貢献したメキシコに感謝
  8. 一人ひとりの行動が集まれば、平和がこだまする~キューバから平和を…
PAGE TOP