7.おりづるプロジェクト・オンライン

アートの力で核兵器と気候変動に挑む! ~米国などのユースの挑戦~

核兵器禁止条約が発効した2021年1月22日の早朝、Reverse the Trend: Save Our People, Save Our Planet(仮約:世界の流れを逆転させよう:人々と地球を守るために)プロジェクトの立ち上げイベントで田中稔子さんが、広島の被爆者として、また七宝作家として被爆証言とアートの持つ力にして話しました。

このプロジェクトは、現在の世界が直面している二つの大問題-核兵器と気候変動-の危機にさらされている地域やコミュニティーの若者の声を聞き、アートを通して解決への道を探ろうとするものです。今回のイベントは、核時代平和財団、ピースボートUS、ウィニペグ・ロータリークラブなどの多くのグループが共催で開いたもので、80名の参加者に向けて大変多くの視点とアクティブな若者のアクションが紹介されました。

コスタリカ、カザフスタン、キリバスのそれぞれの立場から

主催の 核時代平和財団代表のクリスチャン・シオバヌがイベント概要とゲストスピーカーの紹介をした後、基調講演として、コスタリカの国連次席大使、カザフスタンの国連代表部の方、キリバスの国連大使が話しました。そして、核兵器禁止条約発効の前夜を祝いました。(その時、日本の私たちはすでに22日となり、条約の発効の喜びを共有しました!)
平和や人権を政策のベースにし同条約に加盟しているコスタリカの視点、核実験場をかかえ核被害者のいるカザフスタン、そして51か国の加盟国の抱える責任の重さと課題をキリバス大使が共有しました。それぞれの希望と課題も感じながら、それぞれの視点から喜びが感じられました。

被爆者として、七宝作家として

その後、ピースボートUSのエミリー・マグローンがピースボートのSDGsへの取り組み、核兵器廃絶への取り組み、ピースボートおりづるプロジェクトの紹介をしました。

エミリーに続いて、広島で6歳の時に被爆し、七宝作家として活躍する田中稔子さんが被爆証言とアートが人を力づけ、強い表現方法であることをお話ししました。核兵器が投下されてから75年もの長い年月が経っているにも関わらず、放射能による体への影響、精神的な傷がまだ続いていることが話されました。「へいわ(Peace)」という作品をみせながら、「日本ではすでに『今日』核兵器は国際法で禁止されました」と嬉しそうに笑顔を見せる稔子さんには、参加者から大きな拍手と感謝の笑顔が送られました。

気候変動で島が侵食してなくなってしまう危機に直面し、アメリカの核実験の被害ももつ、マーシャル諸島の若者もアートを通して自国の状況を訴える活動などを紹介しました。

核兵器廃絶は「始まり」にすぎない

参加者がそれぞれの表現方法を用いて、未来に向かう様子がとても希望に満ちていました。そして、核兵器禁止条約が効力を持ち、国際法として誕生することは嬉しいことではあるけれど「始まり」に過ぎないことを確認しました。それと同時に、気候変動と核兵器という、目の前のあきらめてしまいそうに大きな課題への挑戦には、若者の力強い意志とアクションが欠かせないということを実感して終わりました。

 

ピースボートUSのブログ
https://peaceboatusoffice.wordpress.com/2021/01/22/reverse-the-trend-art-and-activism/

プレスリリース:Reverse the Trend: Save Our People, Save Our Planet 立ち上げ
https://www.rttreversingthetrend.com/blog/launching-of-reverse-the-trend-and-welcoming-the-treaty-on-the-prohibition-of-nuclear-weapons

 

文 ピースボート 渡辺里香

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