4月30日、イタリアの国会議員、ラウラ・ボルドリーニさん、キャンペーナーのフランチェスコ・ビニャルカさん、来日中のICANメンバー4人が、ANT-Hiroshimaの渡部朋子さんが企画する見学・交流プログラムに参加しました。4月28日(東京)、29日(広島)で行われたG7国会議員フォーラムに続いて、より深く広島の被爆の実証を学ぶことが目的で、ピースボートの川崎哲、松村真澄も同行しました。
ホテルのロビーで待ち合わせし、入口付近に立つ被爆した樹木(カキ・エノキ)を見学しました。幹に括られたプレートを見ながら、被爆樹木の特長についての説明に真剣に耳を傾けるラウラさん。一つ一つ写真に収めながら、樹木と対話をしているようでした。その後、平和公園を回り、原爆ドームに着いたところでタクシーに乗り、田中稔子さんのご自宅兼「Peace 交流スペース」に向かいました。
田中稔子さんには、前日行われたフォーラムにて英語で証言をいただいたこともあり、ラウラさんもICANメンバーもこの訪問を楽しみにしていました。展示されていた稔子さんによる七宝芸術作品に目を奪われ、多くの質問を稔子さんに投げかけました。七宝作家を志したきっかけ、作品に映るドームや原子、鳩や人物の意味など、対話が途切れないほどでした。稔子さんの構想段階にある、ウクライナでの平和を祈る作品についても伺いました。世界の芸術家とのネットワークを広げるICANメンバーにとって、大きな刺激となったようです。
稔子さんとの親交を深めたメンバーは、世界平和記念聖堂に向かいました。白浜満司教が出迎えてくださり、様々な国の支援を受けて建てられた聖堂を見学しました。このときの訪問がきっかけとなり、白浜司教がローマ教皇に働きかけ、G7広島サミットへのメッセージ発信が実現しました。
最後に訪れたANT-Hiroshima事務所では、代表の渡部朋子さんからラウラさんへ「原爆の子の像」を建立した子どもたちの物語絵本『おりづるの旅』のイタリア語版と、ボランティアの方が作った千羽鶴が送られました。イタリアに持ち帰り、今日の学びと経験を伝えていく、とおっしゃいました。実際にホテルに戻ったラウラさんは、すぐにお部屋にこもり、報告と発信に取り掛かりました。
1日という短い時間ではありましたが、ANT-Hiroshimaさんのコーディネートで素晴らしい交流となりました。今後も、ICANの活動を通じて協力し合っていきたいと思っています。
文:ピースボート 松村真澄