2025年_ヒバクシャ地球一周(Voyage120)

被爆ヴァイオリンとともに紡がれる、平和の記憶

広島女学院に大切に保管されている、被爆ヴァイオリン。
このヴァイオリンは、第二次世界大戦中、広島で被爆しながらも奇跡的に生き残り、今もなおその音色で平和の尊さを伝え続けています。
今回、この特別なヴァイオリンをフランス・ルアーブルからアメリカ・ニューヨークまでの航路で、特別に船に乗せて運びました。そしてその旅路には、このヴァイオリンの元の持ち主であるセルゲイ・パルチコフ氏のお孫さん、アンソニー・ドレイゴさんが同乗されました。
船内では、アンソニーさんによる2回の講座が行われ、ご家族にまつわる貴重なお話を直接伺うことができました。

講座にて家族のストーリーを物語るアンソニーさん

 

内容は、彼の母・カレリアさんや祖父・セルゲイさんから聞いたという家族の歴史——ロシアで起きたボリシェビキ革命から逃れ、船を乗っ取り命からがら日本に渡ってきたこと、広島での暮らし、1945年8月6日の原爆投下の日、そして戦後の歩み——が語られました。
この家族が広島での生活に溶け込んでいく過程で、大きな役割を果たしたのが「音楽」です。
祖父セルゲイさんはヴァイオリンを弾くことができ、当初は無声映画館での伴奏演奏者として雇われました。その後、広島女学校で音楽教師として勤めるようになり、日本初の女子オーケストラの指導にも尽力しました。音楽は、パルチコフ一家にとって生活の中心であり、心のよりどころでもあったのです。

そして、8月6日。
原爆が投下された後、セルゲイさんは一度避難しましたがその後自宅へ戻り、瓦礫の中から大切なヴァイオリンを探し出して持ち帰りました。
その後、一家はアメリカへ移住しますが、数十年後、カレリアさんが広島女学院創立100周年の式典に招かれた際、このヴァイオリンを学校に寄贈することを決意されたのです。
講座では、当時の貴重な写真を数多く交えながら、アンソニーさんが丁寧に物語を語ってくださいました。また、船内ミュージシャンによる“被爆ヴァイオリン”の演奏も行われ、その繊細で温かい音色に、参加者の皆さんは静かに耳を傾けていました。

船内ミューシャンによる被爆ヴァイオリンの演奏


このヴァイオリンは、単なる楽器ではありません。
多くの時代を生き抜いた“証人”であり、戦争の惨禍と平和の希望を静かに語りかける存在です。その音色からは、「二度と同じ過ちを繰り返してはいけない」という切実な願いが、強く、しかし優しく伝わってくるようでした。

さらに今回は、アンソニーさんが持参された家族の写真資料を囲んで語り合う交流会や、ヴァイオリンを主人公としたピースコンサートも開催。船内ミュージシャンやゲスト、お客様と協力し、「音楽を通じて平和を考える」時間を共有することができました。

船内のピースコンサートにて

 

音楽という“ことばを超えた継承のかたち”で伝える平和のメッセージは、多くの参加者の心に深く響きました。このような貴重な機会を共有できたことに、心から感謝いたします。

アンソニーさんとパートナーのキャシーさん

 

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