2008年_第1回ヒバクシャ地球一周(第63回ピースボート)

タヒチでは核実験による現地ヒバクシャ、反核団体との交流

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-②

(マラエでのセレモニーには地元メディアも駆けつけた)

12月18日、本船モナリザ号はフランス領ポリネシアのタヒチ・パペーテに入港。

1966年から96年までの30年間、フランスによる核実験が193回にわたって仏領ポリネシアのモルロア環礁やハオ環礁で行われてきた。そのためいまだにそれらの場所は立ち入り禁止区域であり、核実験場で働いていた兵士や地元雇用の労働者(テストサイトワーカー)の中にはヒバクシャが多く存在する。これまでフランス政府は放射線による人体への影響を認めてこなかったが、ここにきてようやく兵士への放射能被害を認める方向に進んでいる。しかし、いまだにテストサイトワーカーに対しては、ヒバクシャとしての認定をしようとしないのが現実としてある。

タヒチでの交流相手は、MET(モルロア・エ・タトウ=モルロアと私たち)というヒバクしたテストサイトワーカーの支援を行っている仏領ポリネシアで唯一の反核団体。午前中は、METの招待で、港から歩いてすぐ近くにあるマラエと呼ばれる祭壇で、儀式を行う。

地元メディアがマラエ(伝統儀式を行う祭壇)を取り囲む中、MET・ロラン・オルダム代表に続いて、ピ-スボートから上野祥法クルーズディレクターの挨拶があり、ポリネシアの島々に見立てた大小の岩の周りに、ヒバクシャが持参した折り鶴を供える。そしてヒバクシャを代表して藤井美津江さんが証言を行う。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-①
(マラエに折り鶴を供える日本のヒバクシャたち)


ヒバクシャ地球一周 証言の航海-③
(藤井美津江さんによる挨拶)

その後、近くにあるMETの事務所に会場を移し、「過去の記憶を次世代に伝える」というテーマでワークショップを行う。最初にMETのこれまでの活動が説明され、続いて、同席していた5名の核実験ヒバクシャが紹介され、簡単にスピーチする。その中のひとり、レイモンドさんは「68年からモルロアで実験場の土台作りに従事した。その後、ハオ環礁で配線ケーブルをつなぐ仕事に携わった。96年の実験終了後にガンと性機能障害を患い、フランス本土で度々治療を受けている。放射能による危険性はまったく知らされなかった」と述べた。

次に若杉忠男さんが、14歳の時に長崎でヒバクした体験を話し、ディスカッションへ。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-⑥

(若杉さんは原爆投下はアメリカによる実験だったと指摘)

MET側からは、どのような形で証言をしているかという質問があり、長崎の出口輝男さんやブラジルの渡辺淳子さんからは、学校など教育現場を中心に活動しているとの回答が寄せられた。また佐藤広枝さんは、個人レベルで広島の平和公園で定期的に清掃活動や平和をテーマにしたイベントを行っていると発言。中西巌さんは、語り部として登録されたメンバーが広島市から依頼されて定期的に行っているが、自治体のサポートがあってこその活動となっていると語った。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-④

(MET代表のロランさんは、フランス政府によるヒバクシャの人権無視を訴えた)

警官としてモルロアで3年間勤務して、ヒバクしたマリオスさんは「タヒチでヒバクについて公に話すのは、テロリストと同じように扱われるだけ。周囲からのサポートはほとんどない」と窮状を訴えた。出席していた現地の女性から、私は小学校の教師をしているが、学校でどうやって教えればいいのか知りたい、と発言があり、最後に、METのコーディネーター、ジョン・ドゥームさんが「このような場に教師が出席したのははじめてのこと。今後我々の活動をどうすべきか、ぜひアドバイスをインターネット経由で送って欲しい」と呼び掛け、終了した。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-⑤

(発言するマリオスさん(中央)ら、核実験によるヒバクシャ)

午後からは、船内でMETのメンバーを招いて、20名のヒバクシャと今後、「どのようにポリネシアの核実験の事実を伝えていくか」をテーマに、ディスカッションを行う。

まずロランさんから、現在METで計画しているドキュメンタリー映像の作成について説明があり、それについてさまざまな意見が寄せられた。出口さんの、日系二世のアメリカ人、スティーブン・オカザキ監督のドキュメンタリー映画『ヒロシマ・ナガサキ』を引き合いに出し、この映画の制作過程は参考になるのでは、といったコメントや、ヒバクシャのドキュメンタリーを制作するため、今クルーズに乗船しているコスタリカ出身の映像作家、エリカさんからは「財団などから資金を提供してもらって作る方法と、映像を学んでいる人を集めて作るふた通りのやり方がある。私自身、今回はボランティアで乗船して制作しているので参考にして欲しい」と発言があった。

吉岡泰志さんから、今後、METがピースボートを通じてヒバクシャとの連帯を模索するのがいいのでは、という提案があり、ディスカッションが終了したが、日本とタヒチでは、ヒバクシャの立場があまりにも違うため、植民地支配を受けている人たちがいかに困難な状況に置かれているかが浮き彫りとなった。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-⑦

(METメンバーを囲んでの船内ディスカッションの様子)

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